IBMとNovellは米国時間27日に、Microsoftが開発を進めるID管理技術「InfoCard」に対抗するオープンソースプロジェクトを発表する。
両社は、「Higgins Project」と呼ばれるオープンソースプロジェクトへの参加を計画している。同プロジェクトの目的は、ネット上で使われている各種の認証システム用のID、プロフィール、関係情報を統合することにより、ユーザーが利用する多数のログイン/パスワードを管理しやすくすることにある。
同プロジェクトには、米ハーバード大学ロースクールのBerkman Center for Internet & SocietyやソフトメーカーのParity Communicationsも参加している。Parity Communicationsは、これまで水面下で密かに利用されてきた「ソーシャルコマース」ソフトを開発している。
IBMを代表するエンジニアで、同社の最高セキュリティアーキテクト(CSA)を務めるAnthony Nadalinはインタビューの中で、ソフトウェア開発ツール関連の業界団体Eclipse Foundationが運営するHiggins Projectは、MicrosoftのID管理技術「InfoCard」に対抗するものだ、と語った。
Nadalinは「このプロジェクトは、ID管理のオープンソース化を支援する取り組みだ。InfoCardは、1人のユーザーが中心となって実行するIDシステムだが、私に言わせればMicrosoftの取り組みはオープンではない」と述べた。また同氏は、「(MicrosoftのInfoCardには)隠されている要素が多い」とし、その例として、Microsoftの企業向けID管理技術「Active Directory」との連携方法を挙げた。
これに対し、MicrosoftはInfoCardを、1つの財布に複数のクレジットが入っているのと同様に、認証や支払いに関する情報の一括管理を可能にする技術だと説明した。InfoCardクライアントをPCにインストールしておけば、認証や取引のために情報を要求する複数のウェブサイトに対応できるようになる。
しかしNadalinによると、HigginsはInfoCardにとって単なるライバルではないという。同氏は「われわれの目的は新たなIDシステムの開発ではなく、既存のシステムの統合だ」と述べ、さらに「われわれはMicrosoftに(同プロジェクトへの)参加を呼びかけた・・・われわれは今後もMicrosoftと協力してInfoCardとの統合に取り組んでいく。そして、われわれはこの目標を必ず実現すると確信している」と語った。
Nadalinによると、HigginsはWindows以外のOS向けにクライアントソフトを提供することで、InfoCardを補完することになるという。また、HigginsはIBMの「Tivoli」ソフトウェアなど、既存のID管理製品をInfoCardと連動できるようにすると同氏は説明した。IBMでは2007年中に自社製品でHigginsをサポートすると見られている。
「Higginsがなければ、Microsoftは孤立することになるだろう。この技術があれば、MicrosoftはWindows以外の環境にも参加できる」とNadalinは述べ、さらに「顧客は選択肢を求めており、最終的には購入を通じていずれかの技術を支持することになる。彼らは囲い込まれることを好んでいない」と付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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