前四半期の決算を終えたCisco Systemsは、Scientific-Atlantaの買収により獲得する機器をCiscoの製品ポートフォリオに統合し、新たに家電部門を設立するための準備を進めている。
大手企業にイーサネット用スイッチやインターネットプロトコル(IP)ルータを販売することで知られるCiscoが、米国時間7日に第2四半期の業績を発表した。同期は利益がわずかに落ち込んだものの、売上は前年比9.3%増加し、66億3000万ドルとなった。
投資家向けの電話会議の中で、Ciscoの幹部らは、同社が昨年11月に発表したケーブルテレビ用セットトップボックス(STB)メーカーのScientific-Atlanta買収に言及し、69億ドルを投じるこの買収から得られそうな事柄の一部を説明した。
この合併は同社の今四半期中(4月29日締め)に完了すると見られている。CFOのDennis Powellによると、当四半期のScientific-Atlanta製品の売上は2億5000万ドル程度になる見込みで、合併の完了期日がいつになるかで若干の増減があるという。
また、Scientific-Atlantaの売上は第4四半期には完全にCiscoの一部として計上されることになるが、それまでに同社が寄与する売上は約5億2500万ドルになると見られている。CiscoにとってScientific-Atlanta製品が新たな収入源になることは間違いないが、1四半期の売上が66億ドルにのぼるCiscoにとって、これはバケツの中の1滴にすぎない。また、PowellはCiscoの売上の伸びについて、今年度は引き続き10〜15%になるとの予想を明らかにした。
Ciscoは現在、家電市場に向けて一連の新製品を投入する準備をすすめているが、当初これらの新製品は、Scientific-AtlantaおよびKiss Technologiesから取得した技術を使用したものとなる。Ciscoが昨年買収を発表したKissは、ネットワーク対応のDVDプレイヤーを開発する欧州の新興企業。
Ciscoは先月ラスベガスで開催されたConsumer Electronics Showで、少なくともひとつのホームエンタテインメント製品--「Kiss DP-600」を発表した。CiscoのCTOを務めるCharles Giancarloによると、Kiss DP-600は現在欧州でしか販売されていないが、同様の製品が米国でも今年後半に公開される予定だという。
ビデオ分野のノウハウを早急に手に入れたいCiscoにとって、Scientific-Atlantaの買収は重要な一歩となる。とくに、大多数の家庭がケーブルテレビに加入している米国では、Scientific-AtlantaのSTBが重要な役割を果たすことになりそうだ。ただし、Ciscoの製品ポートフォリオには埋めなくてはならない穴がいくつか残っており、Giancarloもその点を認めた。
「Scientific-Atlantaの製品は米国のケーブル市場に対応するものだ。しかし、世界のほかの地域については、ケーブルテレビのインフラが整っていないところが大部分であり、ネットワーク経由のビデオ配信も行われていない。われわれはそうした地域に大きなチャンスがあると考えている」(Giancarlo)
CiscoがDVRメーカーのTiVoを買収するとの噂が流れているが、TiVoの製品がこの市場への進出に役立つのではないかと尋ねられたGiancarloは、買収の可能性を一蹴した。
「これまでにCiscoが買収するとの憶測が流れた企業を全部買おうとすると、相当な金額になるはずだ。しかし正直にいって、そうした憶測は当たらないことがほとんどだ」(Giancarlo)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」