カリフォルニア州ロサンゼルス発--Luminetxという小さなバイオメトリクス技術企業が、手のひらを読み取る新しい方法を開発した。同社では、この技術が、指紋や網膜スキャンに対抗する新たな生体認証の手法になればと考えている。
Luminetxが開発した技術は、静脈内の血液細胞を赤外線でスキャンし、コンピュータでそれを分析するというものだ。
同社は当初、医師や看護婦向けに、注射が必要な患者の静脈を探す方法としてこの技術を開発した。だが現在では、Snowflake Technologiesという新部門を設立し、この技術をバイオメトリクス認証ツールとして、銀行やクレジットカード会社、さらには米国土安全保障省に売り込んでいる。
当地で開催中の「THE entertainment gathering」カンファレンスにて、Luminetxの最高経営責任者(CEO)Jim Phillipsは、「人間の静脈の構造は、個人ごとにまったく異なる。特に、手のひらではこれが顕著だ」と述べた。「ある意味、これはバーコードのようなものだ。われわれの技術は、人間の静脈をバーコードに変換するものといえるだろう」(Phillips)
Luminetxが提供する手法のような本人確認技術に対するニーズは、テロ攻撃の脅威や個人情報盗難などの増加を受けて、ますます高まってきている。
すでに空港などでは、指紋や虹彩スキャンのようなバイオメトリクス認証ツールが広く利用されている。米国や欧州のバイオメトリクスの専門家は、急速に変化するこの業界を統一しようと、標準仕様の策定にも乗り出している。
もっとも、従来の生体認証技術では、セキュリティが比較的簡単に破られることが分かっている。クラークソン大学の研究者らによると、指紋のような情報は例えば、粘土のPlay-Dohや歯科用石こうを使って偽造できるという。これとは対照的に、人間の静脈パターンを3次元で再現するのは難しい。
静脈のパターンを利用した生体認証技術の開発に取り組んでいるのはLuminetxだけではない。富士通はすでに「非接触型手のひら静脈認証」システムを独自に開発し、日本国内で5000台以上の販売実績がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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