前代未聞の措置--東証が全銘柄の売買を自発的に停止 - (page 2)

別井貴志(編集部)2006年01月18日 14時46分

ここ2カ月半で2度目の全面的な売買停止

 東証は、2005年11月1日にも東証1部、2部、マザーズ上場株式、転換社債などの全銘柄を9時から売買停止し、13時30分に復旧させたことがあった。このときは売買システムの障害だった。システム障害の原因は、売買システムの開発や保守を担当した富士通によるプログラム修正作業の指示書の一部に記載漏れがあったためだ。

 東証と富士通は、10月8日から10日までの連休中に注文の処理能力を1日当たり620万件から750万件に増強する作業をしていたが、この際に取引を指示するためのプログラムに不具合があることを見つけた。そこで、このプログラムの修正を10月13日に行ったが、修正プログラムへの移行手順の一部が作業指示書に記載されていなかったために、東証が毎月月末に実施しているデータ整理によってシステム全体が更新された後は、修正プログラムが働かなかった。そして、これによりシステム全体が動かなくなってしまったのだ。

 システム障害とはいえ、このときの全面的な売買停止措置も異例だった。しかし、こうしたことを経験したうえで、システムが止まる可能性があるとして事前に自発的に売買停止の措置を取った今回も異例中の異例といえよう。ここ2カ月半の間に全面的な売買停止措置を2度も繰り返しているからだ。

 東証は2006年1月10日に株式売買システムの能力増強を発表している。「2月の稼動を予定してきたが、注文件数の急増を受けてできるだけ前倒しして実施すべく作業を進めた結果、1月10日に対応できた」という。その結果、システム記憶装置の有効活用によって、注文受付ファイルを750万件から900万件に拡張し、1日あたり900万件までの注文受付が可能になったとした。さらに、クラスタ(業務サーバ)の増設により、注文受け付け処理能力は増設前と比べて約1.3倍まで向上させた。ただし、参加者発注システムとの接続余力を拡張するための通信機器の増設については、2005年2月に実施する予定だった。

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