英国政府機関の上級幹部が、同国が進めるIDカード計画で新しいアイデアを考えついたと語った。デジタル証明書を搭載した「iPod」を無料で国民に配るという案だ。
英通商産業省のアプリケーションおよびデータサービス部門を率いるPatrick Cooperは現地時間10日、2006年のテクノロジー界を予測するAdobe Systems主催のイベントに出席し、冗談交じりにこうした考えを口にした。
Cooperは、特に政府のサービスをオンラインで利用する場合において、IT業界はネットワーク認証とセキュリティという2つの大きな問題を抱えていると述べた。ADSLネットワークのユビキタス性は、セキュリティ上のリスクという代償を払って実現されているというのが同氏の主張だ。Cooperはまた、ISDNはADSLより安全性の高い作りになっているが、大半の消費者や小規模企業のニーズを満たすことはできないと話した。
しかし、携帯電話やiPodなどにデジタル署名もしくはデジタル証明書を搭載し、一般ユーザーや企業ユーザーがこれをみずからのマシンに接続するようになれば、オンライン認証およびID管理に関する問題を有効に解決できるかもしれないと、Cooperは言う。
「デジタル証明書が搭載されている携帯電話を持っていれば、それをPCにつなぐだけでよい。同様に、デジタル証明書を搭載したiPodも利用できるだろう。そのうち、国民にiPodを支給するようになるかもしれない。みんなが持っていれば、盗難事件もなくなるというものだ」(Cooper)
さらにCooperは、iPodを支給することで、オンライン詐欺を撲滅しようとする政府の取り組みにコスト効率のよい新たな道が開かれるのではと、冗談めかして語った。英政府では、個人識別番号(PIN)やパスワードを設定した国民IDカードを提供し、オンライン認証ツールとして機能させていくことを提案している。
London School of Economicsの最新調査によれば、すべての英国民に対してIDカードを発行する場合、政府のITインフラを各政府機関や公的部門のインフラと統合する必要があり、1人あたりの発行費用がおよそ500ポンド(約884ドル)に達する可能性があるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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