超有名ギタリスト御用達--脚光を浴びる自動チューニング技術

文:Richard Defendorf(CNET News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年01月12日 12時26分

 どれほど熟練した弦楽器奏者でも演奏中に音をはずすことは多い。

 弦が伸びたり、楽器のネックが湿度の変化や弦の張力によって反ったり曲がってしまうなど、何らかの理由で音程は狂ってしまう。そのため、ステージやスタジオで演奏するプロのミュージシャンは、曲の合間や、場合によっては曲の途中でもペグを調節することになる。

 マンドリンやアコースティックギターの一流奏者であるMike Marshallは、先ごろ行われたオンラインディスカッションのなかで、この話題について「音程が長時間安定してくれない楽器を演奏しているとひどくイライラする。これだけ素晴らしい技術に囲まれていることを考えると、これはある意味でバカげだことだ」と書き込んでいた。

 しかし、少なくともエレクトリックギターに関しては、チューニングの問題を改善する技術は存在している。現在普及している電子ピッチリーダは、精度はかなり高いが手動チューニングも欠かせない。だが、「The Performer」という電子装置のファンやユーザーは、このシステムは電子ピッチリーダから大きく進化したものだと主張しており、これを使うことでギタリストは同じ楽器でさまざまなジャンルの曲に対応できるようにもなるという。

 このような特性が功を奏し、このシステムはGraham NashやJimmy Page、Joe Perryなどの有名ロックギタリストをはじめ、多くのコンサートプレイヤーに採用されている。

 The Performerはボタン操作だけで、オープンでフレットのない弦を、演奏者がプログラムしたとおりに自動的にチューニングする。また演奏中でも、弦を鳴らすわずかな時間さえあればチューニングを修正できる。

 このシステムはセンサ、コンピュータ機器、そして小型モニタで構成されている。これらの機器はFenderのStratocasterやTelecaster、およびGibson USAのLes Paulの本体に内蔵される。

 新しい個性的な音を求めるギタリストは、プリアンプやDSP、その他のエフェクト用装置を使って、フットペダルの操作で楽器の音を変えることができる。音を変えたり、ギターを扱いやすくするためには、チューニングの設定をいくつか用意するのも1つの方法だが、手動というかなりローテクな方法が用いられることも多い。ステージでもスタジオでも、チューニングに何分もかけることが非現実的な場合、プロはあらかじめチューニングした複数のギターを用意しておき、曲に合わせて使い分けている。

 現在発売されているThe Performerは、ボタンを押すだけで6本すべての弦のテンションを約5秒で同時に調整できるようになっている。ギター本体に組み込まれた液晶画面には音価、オクターブ、各弦の「セント値」(セントは相対音程の単位で、1オクターブは120セントに相当)が表示される。このシステムを開発したNeil Skinnによると、そのチューニング精度は±2セントだという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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