情報処理推進機構(IPA、藤原 武平太理事長)は1月10日、2005年年間および05年12月のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況を発表した。
これによると、05年の年間コンピュータウイルス届出件数は5万4174件となり、前年の5万2151件を越える過去最多の件数となった。ただ、実際にパソコンに感染した(実害があった)ケースは減少傾向にあり、05年は04年の1.2%より低いわずか0.4%にとどまった。
届け出されたウイルスは171種類(04年は142種類)で、検出数の多い順に、W32/Netsky、W32/Sober、W32/Mytobとなっている。なお、11月に出現したW32/Soberの亜種は、わずか2か月間で約1295万個も検出され、年間検出数でも2番目の多さだった。
また、05年の年間不正アクセス届出件数は515件だった。05年は、届出件数自体は04年の594件と比べて約13%減少したものの、侵入やDoSの届け出が増加。また、被害があった届出件数は、前年比約2.4倍と大幅に増加した。実際に被害にあったケースでは、SQLインジェクションなどWebアプリケーションのぜい弱性を突かれたことによる被害が多く発生した。
一方05年12月では、コンピュータウイルスの届出件数は、前月比12.5%増の4293件。感染の届出件数は16件だった。ウイルスの検出数は、大量メール送信型の「W32/Sober」の亜種が急増したため、約1344万個と、11月の約500万個の約2.6倍にも達した。
W32/Soberは、メールの添付ファイルとして拡散し、そのファイルを開くと感染する。感染すると、パソコン内からアドレスを収集し、取得できたアドレス宛にウイルスを添付したメールを送信する。従来のメール送信型ウイルスは、パソコン起動時に1回から数回程度ウイルスメールを送信するが、W32/Soberは、パソコンが動作している限り、大量のウイルスメールを繰り返し送信しつづけるように仕組まれており、このためメールを受信する数が桁外れに多くなっているケースもあった。
IPAは、2006年も引き続き、最新のウイルス対策ソフトを使用する、添付ファイルやダウンロードしたファイルは開く前にウイルス検査をするなどのウイルス対策を実践するよう呼びかけている。
12月の不正アクセス届出件数は25件で、うち、19件で被害があった。不正アクセスに関連した相談件数は25件(うち3件は届出件数としてもカウント)で、そのうち何らかの被害のあった件数は15件だった。被害届出の内訳は、侵入12件、メール不正中継1件、ワーム感染3件、DoS攻撃1件、その他が2件。SSHで使用するポートへの攻撃を受けた結果、侵入されたという届け出が12月も5件あったことから、なおも注意が必要と指摘している。
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