セキュリティ専門家らは米国時間3日、Microsoftの「Windows Meta File(WMF)」で先週発見された脆弱性が、すでに多数の攻撃を引き起こしていると警告した。
専門家によると、攻撃の形態は多岐にわたっており、「MSN Messenger」ワームや、悪質なウェブサイトへユーザーを誘導しようとするスパムなどがあるという。
この脆弱性は、SP(Service Pack)1および2を適用した「Windows XP」や「Windows Server 2003」で悪用が容易になっていると、専門家は述べている。F-Secureの最高研究責任者(CRO)Mikko Hypponenによると、「Windows 2000」や「Windows ME」などの古いバージョンのオペレーティングシステム(OS)では、影響が及ぶおそれがあるものの、脆弱性の悪用は比較的難しいという。
「状況は現在でもよくないが、今後さらに悪化する可能性がある。今回の問題が持つ潜在的な脅威は、これまでになく大きい」とHypponenは述べ、「われわれの見積もりでは、世界のコンピュータのうち99%までがこの攻撃に対して脆弱である」と指摘した。
Internet Storm Centerが発表したセキュリティ勧告によると、WMFには、任意のコードの実行に画像が悪用されるという欠陥があるという。ユーザーが悪質な画像を閲覧すると、この脆弱性が悪用されるのである。
Microsoftのセキュリティ勧告では、今回のWMFの脆弱性を修復するパッチが、米国時間1月10日の月例パッチリリースにおいて提供されることが明らかになっている。
「この脆弱性は、発見された2005年12月27日以来、複数種の攻撃に悪用されている。例えば、ユーザーに悪質な画像をクリックさせるよう誘導するものや、連絡先リストに登録している知人にワームを送信するMSN Messengerワームなどが見られた。数例のスパム攻撃も確認している」(Hypponen)
Hypponenによれば、一部のスパム攻撃は米国務省などから送信されたように偽装され、特定のグループを標的としているという。こうした悪質な電子メールには地図画像が添付されていて、ユーザーがこれをクリックすると、トロイの木馬がダウンロードされてしまう。この攻撃により、ユーザーのシステムにバックドアが仕掛けられ、機密性の高い個人情報が漏洩するおそれがある。
先週には、WMFの脆弱性を悪用する「Exploit-WMF Trojan」などの攻撃がすでに出回っていた。
Microsoftはまだパッチをリリースしていないが、F-SecureやInternet Storm Centerといったセキュリティベンダーは、ロシアのセキュリティエンジニアIlfak Guilfanovが非公式なパッチを公開し、その有効性が実証されたことに関心を寄せている。
「Ilfak Guilfanovが公開した暫定的なパッチをインストールしても、システムの機能が失われることはない。画像やサムネイルは、通常どおり閲覧できる」と、F-Secureのセキュリティ関連ブログには記されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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