ベンチャー企業の代表者が解くWeb 2.0と経営の本質 - (page 3)

別井貴志(編集部)2005年12月07日 23時05分
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 こうしたそれぞれの意見などが語られた後には、何度も登場したGoogleに対する意見もそれぞれ出された。

 内藤氏は「先ほど挙げた3つのポイントを抑えている代表企業がGoogleでしょう」と述べ、いまでもGoogleを尊敬しているという。特にグローバル企業のほうが世界で見たときに一番そのデータベースを持っているという位置づけになりやすいということを指摘した上で、「日本のほうが弱いような気もしますが、どうしてもデータベースは言語に影響される部分が強くなります。逆に言えば日本の市場の中だけでこの分野で一番をとっていくという会社がいろいろ出てくれば、その会社がどうサードパーティを見ているか次第で、大化けする会社がでてくる可能性は大きいと考えています」とした。

 これに対して、熊谷氏は「西川さんがおっしゃるように帝国主義というか、非常に怖い状況が起こっていると思います」と語った。たとえば、最終的にある1社さえあればすべてできてしまうという時代が来て、本当に中抜きやインターネットの大革命が起こるのは、このWeb2.0の時代なのではないかと考えているわけだ。「一極集中はインターネットの特性ですが、それがさらに加速するのかなという感じがしていて、経営者としてはやはりこれに乗り遅れてはいけないと強く思いました」と言う。

ベンチャーキャピタルが企業を見る眼

 次に、ベンチャーキャピタルや投資などに関する話題にも触れられた。そのきっかけは、自らの立場から小林氏の「米国の論文やニュースの記事を見ていると、Web2.0の時代になってお金が必要なくなったのでベンチャーキャピタルはいらないという否定論が出てきているようです」という発言だった。

 これに対して、内藤氏は「もっとも重要であると言ったデータベースなど、ある一定以上の情報を持って、かつそれを外部に公開できるような環境の構築というのはそれなりの資金が必要になってきます。ベンチャーキャピタルの人にとっては、その分野で一番データベースを持っているかどうかという視点で投資を考えるのがいいのではないでしょうか」と提案した。

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セッションの会場となった世界最大の室内ウォーターパーク「オーシャンドーム」

 そしてさらに内藤氏は、「プレーヤーとして参入したいと考えている企業にすれば、3つぐらいやることはあると思います」と企業のチェックポイントを挙げた。1つ目は自分の会社がどんなデータベースを持っているかということ。そして、そのデータベースは市場においてどのくらいのシェアを持っていて、そのシェアを増やしていけるかということだ。2つ目は、そのデータを1回閲覧されたことに対して商用価値があるかどうかということだ。データ自体に商用価値があれば、データ自体がマイクロアドバタイズメントになるわけなので、特にマイクロアドバタイズメントをする必要はないとしている。3つ目はAPI化してサードパーティにサービスを提供できる環境にあるかどうかということだ。

 ここで、西川氏が内藤氏に「データベースが重要という中で、たとえばNTTが持っている電話番号のデータはイエローページなどビジネスに直結するものでしょう。その一方で、CGMと呼ばれるようにユーザーがどんどん作ってくれるコンテンツも一種のデータベースと言えると思いますが、そうしたコンテンツが集合することも価値が出てくると考えます。これは正しいですか」と質問があった。

 内藤氏は「そうだと思います。CGM自体もデータベースですが、それをどうやって整理して管理していくかが重要だと考えています」と答えた。そして、ドリコムの研究例を挙げた。1000万の個人メディアの記事があったとすると、それをヤフーのサブディレクトリぐらいまで自動で振り分けする。そのあとはコンテンツをクロールしたときに個人のメディアであれば、ここは「タイトル」だとか、ここは「本文」だとかを抜き出すことが98〜99%の精度で可能になってきたという。

 内藤氏は「こうした情報をXMLで持つということですが、この情報自体が見られて収入を得られるという話ではないので、それに対してマッチングさせていくということでコンテンツマッチング広告などもやっています」と具体的に説明した。こういった背景から、どうしても検索技術を持っているとWeb 2.0的なサービスがしやすいという面がでてくるわけだ

 これについて西川氏は「NTTの電話番号のデータなどの場合は力業でお金さえかければきちんとできますが、むしろ無数に毎日ユーザーが発信しているブログなどから何か独特な抽出方法で再構築したデータで価値があるものを作れれば、それが宝の山になるわけですね」と理解を示した。

Web2.0にかけるそれぞれの想い

 最後に、スピーカー3人がそれぞれ、今後の展望についてまとめた。熊谷氏は、インターネットのユーザーそのものが見るだけのインターネットから発信するネットへと使い方を変えていく中で、「事業者である我々もビジネスチャンスが広がっていて、私自身は10年前と同じ興奮状態にあります」と目を光らせた。そして「今日はWeb1.0の代表として、若い内藤さんの脇に座らせていただきました」と冗談を交えながらも「このWeb2.0のブームをみんなで盛り上げて、そこに命を懸けていきたいと考えています」と覚悟を見せた。

 内藤氏は「なぜ、日本がシリコンバレーのようになれないのかという課題を抱えてきたと思います」と嘆いた。しかし、「Web2.0の流れというのは技術的な側面が非常に強いと思いますので、しっかりした技術を持っていれば、一足飛びでいける環境は揃っていますので、結果としてよりシリコンバレー的なネットベンチャーを生み出せるようになってきているでしょう」と、技術を核とした成長を促した。

 さらに、西川氏は「Web2.0というトレンドを業界のみんなが意識しながら、新しいビジネスをどんどん生み出し、日本のインターネットビジネス業界がさらに次世代型に飛躍することを期待したいです」と締めくくった。

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