モバイルテクノロジーをリードするIT企業の講演を、11月29日と30日の2日間で40数セッション公聴できるイベント「mobidec 2005」が秋葉原コンベンションホールで開催された。携帯電話をはじめとするモバイル通信の現状と、今後の動向を見据えた各社のビジネス展開や、2006年へのアプローチなどが語られた。
11月29日には、2005年5月より「DDIポケット」から社名を変更し、新たなスタートを切ったウィルコムが登壇した。新たなサービスと端末を提供することによって得た、潜在的マーケット発掘への手ごたえを、事業促進部長の立石篤申氏が語った。
ビジネス戦略を語るにあたり、同氏はまずウィルコムが構築するネットワークについて解説した。1つの基地局で広い通信エリアをカバーする「マクロセル方式」に対し、ウィルコムでは多数の基地局で通信エリアをカバーする「マイクロセル方式」を採用している。
多数の基地局建設はエリア拡大が容易でないデメリットを伴いながら、あえて「マイクロセル方式」を採用した理由として、地震災害などで基地局が倒壊した場合などを想定し、残った基地局で通信をカバーできるメリットを挙げた。また、マイクロセルPHS通信のもう1つのメリットとして電磁波の発生が小さい点を上げ、電磁波の影響が懸念される医療の現場での活用も視野においている。医者や看護士、救命救急にあたる医療スタッフ間の通話、またCT画像のPHS転送などの実例が増えてきているという。
「日本初」と立石氏が語る音声定額サービスの「ウィルコム定額プラン」は、基本料を含む月額通話料をシンプルに2900円の定額で提示し、ウィルコム同士の通話とメールが無料となるもの。音声端末の新モデルとしてWX300/310シリーズが登場している。また、月額1050円で10万パケットまで利用可能な「データ定額」プランもある。
続いて、潜在市場拡大へのアプローチとして、「WILLCOM Core Module」を提案した。従来のPHS通信機器開発には、「ハードウェア技術」と「ソフトウェア技術」、およびPHS端末の心臓部である「無線技術」が必要だった。この無線技術部分のみを汎用性のある「W-SIM」という形でモジュール化したことにより、無線技術を持たない企業でもPHS通信端末機器が開発できる環境を提供でき、新たなる端末開発とマーケットの発掘が期待できる。
試みの一例として、2005年10月20日に発表され、注目されているのが「W-ZERO3」。携帯電話の機動性とPCの高性能を併せ持つ、双方の中間的位置づけだ。コンパクトな端末に通話とインターネット機能、アプリケーションを搭載し、ゲームや動画、音楽などのリッチコンテンツを、スムーズに処理する能力を備えている。そのスタイルはPDAの進化系の印象を受けた。公式コンテンツサイトのSIM STYLE専用ポータルサイトでは、ゲームや電子書籍などW-ZERO3の高性能をフルに生かしたコンテンツを提供していく予定であるという。
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