IPTVネットワークが提供するサービスは、単にテレビ番組の配信にとどまらない。地方および都市部の医療サービスの改善、小学生とその両親向けの教材の提供、さらには電子ネットワークへの依存度が増している中小企業向けの低コストのブロードバンドサービスの提供にも利用できる。
各企業も、消費者向けにIPTVなどの映像配信サービスを提供する取り組みを進めていたり、あるいはそうした取り組みへの投資を行っている。こうした動きは、多くの消費者がケーブルテレビにうんざりしているのを認識してのことだ。ケーブルテレビは過去5年間で40%も料金を上げているのに、サービスのほうは一向に良くなる気配がない。それに、消費者はケーブルテレビの対抗馬出現を期待し、新しいサービスを望んでおり、ブロードバンドで音声、映像、データサービスが提供されるようになれば、喜んでこれを受け入れる可能性が高い。
しかし、IPTVには大きな問題がある。それは技術的な問題でも、資金的な問題でもない。技術的な問題は最高の技術者たちがそろっているし、新しいネットワークの敷設に金を出す投資家たちはいくらでもいる。IPTVの早期導入の障害となっているのは、実は政府である。
国や地方の政治家の一部は、ブロードバンドによる新しい映像配信サービスを、10年以上前に独占企業によって開始されたケーブルテレビサービスと同じようなものだと勘違いしている。そして、IPTVをケーブルテレビサービスと同じく規制対象にすることを検討している。これらの政治家は、IPTVプロバイダに対し、3万3000を超える地方自治体と個別に交渉して、インターネット経由でコンテンツを流すための免許を取得するように求めている。
業界アナリストや観測筋が、こうした規制をIPTVの早期普及、つまりブロードバンド加入者の増加と投資の促進に対する唯一最大の障害とみているのも驚くべきことではない。しかし、望みはある。
上院と下院、共和党と民主党を問わず、先見の明のある議員たちが、こうした規制を最小限にとどめ、免許発行手続きを簡素化する必要性があることを認識している。テキサス州議会も、ブロードバンドの必要性を本当に信じるならIPTVを解放する必要があるという点を認識し、将来を見据えた法案を圧倒的多数で可決した。これは他の州のモデルとなるに違いない。
政治家たちに対する我々のメッセージは、「IPTVに手出しするな」と至って簡単なものだ。ブロードバンド加入者を増やし、次世代ネットワーク--とりわけIPTVへの投資を促進するために必要な新しいコンテンツとサービスは、いつでも提供できる状態にある。あとは、政府の邪魔が入らないかどうかにかかっている。
著者紹介
Bruce Mehlmanは、Bush政権下において技術政策担当の商務次官補を務めた経歴を持つ。Larry Irvingは、Clinton政権下において通信および情報担当の商務次官補を務めた。両者はともに、ブロードバンド普及団体Internet Innovation Allianceを監督している。
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