米政府関係者は2年半前、スーパーコンピュータ分野における米国の競争力に不安を感じていた。スーパーコンピュータは、世界中の気象モデリング、分子の相互作用、あるいは核爆発のシミュレーションなどに対応する。
しかし、この不安は大げさ過ぎたかもしれない。
新たに公表されたスーパーコンピュータのTop500ランキングでは、米国に設置されているマシンの台数が、6カ月前の277台から305台へと増加した。一方で、欧州、中国、および日本に設置されたマシンの台数は減少した。上位35台中34台は米国のメーカーもしくは大学のマシンだった。
スーパーコンピュータでは、IBMが引き続き圧倒的なシェアを誇っている。半年ごとに公表されるこのTop500ランキングでは、IBMがトップ3を独占したほか、上位10台中5台までを占めた。全体的に見ると、ランキング入りしたマシンの43.8%を同社が占めた。この数値は、ほかのどのメーカーや大学よりも高い。
同社の「BlueGene/L」は、2004年11月にNECの「地球シミュレータ」をトップの座から引きずり下ろすと、その後は3期連続でスーパーコンピュータ世界トップの座を維持している。Lawrence Livermore National Labsに設置されている同コンピュータは、ここ6カ月の間に規模を倍増させ、現在では13万1076個のプロセッサを搭載するまでになった。しかも、同コンピュータは今後も拡張を続ける予定だ。
IBMのDeep Computing担当バイスプレジデントDave Turekは、「アーキテクチャの特性として、その限界よりも、むしろ顧客が何を求めるかの方が問題だ」と語っている。
BlueGene/Lは現在、1秒におよそ281兆回の計算を処理する280.6テラフロップスをたたき出す。同マシンは、処理能力が100テラフロップスを越える唯一のコンピュータでもある。
Top500をまとめる組織はランキングの概要のなかに、「このシステムは、今後数回はTop500ランキングでスーパーコンピュータの世界トップの座を維持し続けるものと思われる」と書いている。
ほかの米国系企業の成績も良好だった。Hewlett-Packard(HP)は全体の33.8%を占め、6月の131台から169台へと盛り返した。Dellも「Thunderbird」で5位に付け、トップ10に食い込んだ。Sandia National Laboratoriesに設置されているThunderbirdは、8000個のプロセッサを搭載するスーパーコンピュータ。
ランクインしたマシンの3分の2である333台がIntel製マイクロプロセッサを搭載していた。「Intel Itanium」チップ搭載のスーパーコンピュータの台数が激減する一方で、「Intel Xeon」や、Advanced Micro Devices(AMD)の「Opteron」などの64ビットプロセッサを搭載した機種が増加している。
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