P.A. Semiが、低消費電力型のPowerチップ開発に取り組んでいる。
P.A. Semi(本社:カリフォルニア州サンタクララ)は今週、Powerアーキテクチャをベースにしたマイクロプロセッサの計画を発表する。このチップは、IBMサーバや現行のMacに搭載されているプロセッサと同じアーキテクチャを採用するが、既存のチップに比べ、ほんのわずかな電力しか消費しないことが特徴だ。
P.A. Semi初のチップとなる「PWRficient」は、2つのプロセッシングコアを搭載し、2GHzで動作する。同チップは、統合性と回路設計に重点が置かれた結果、平均で約5ワットの電力しか消費せず、最大でも25ワットと、現在販売されているシングルコアPowerチップの90ワットに比べて、消費電力が大幅に低減されている。
PWRficientの消費電力量は、Intelの「Xeon」やAdvanced Micro Devices(AMD)の「Opteron」と比べても非常に少ないとP.A. SemiのCEO(最高経営責任者)Dan Dobberpuhlは説明する。同氏によると、PWRficientベースのサーバで構成した4000ノードのクラスタの場合、3年間の電気代は36万ドルになるという。それに対して、同バンク数のXeonやOpteronの場合、同期間の電気代はそれぞれ300万ドルと350万ドルになるという。
「現行技術と比べて約10分の1で済む」(Dobberpuhl)
PWRficientが実際に出荷されるのは2年後であるため、競合他社の製品にどの程度対抗できるかを予想することは難しい。また、難易度の高い市場で、顧客を獲得するという難しさもある。しかし、アナリストらは、その設計思想は注目に値すると述べている。
Linley Group のアナリストLinley Gwennapは、「PWRficientは、消費電力の面では確かに素晴らしい。ただし、低消費電力分野で、同チップがリーダーになれるかという点については、必ずしもそうだとはいえない」と述べる。
また、PWRficientの設計が、さまざまなデバイスにも簡単に適応できる点も重要だ。同チップには複数のバージョンがあり、1個から8個のコアを搭載する。また同チップは、通常より多くの入出力デバイスに接続できる。
P.A. Semiでは、実際にネットワーク機器/家電/サーバメーカー向けに異なる構成のチップを投入する予定だ。同社は今週、カリフォルニア州サンノゼで開催される「Fall Processor Forum」でその計画を明らかにすると見られている。
P.A. Semiは新興企業だが、社員には業界内で何十年にもわたって活躍をしてきた人物が含まれる。Dobberpuhlは、Digital Equipment Corp.(DEC)で、サーバ用「Alpha」チップとハンドヘルド端末用「StrongARM」プロセッサの開発を監督していた。Dobberpuhlによると、StrongARMは、最初の高性能消費電力プロセッサのひとつだったという。同チップはその後、Intelが買い取り、XScaleファミリーの基礎となっている。
P.A. Semiのエンジニアリング担当バイスプレジデントのJim Kellerや、アーキテクチャ担当バイスプレジデントのPete Bannonも、Alphaチップの開発に携わっていた。その後、Kellerは、AMDに転職し、後にOpteronとなるアーキテクチャの定義に力を貸した。Bannonは、DECとCompaq、CompaqとHewlett Packard(HP)が合併した時期を通してAlphaの開発に関わった後、Intelで短い間だけ勤務している(P.A. Semiは本来、Palo Alto Semiconductorの略称であったが、サンタクララに移転後もその名称を使い続けている)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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