第2ステージに入ったオールアバウトの事業戦略--100億円企業へ - (page 2)

西田隆一(編集部)2005年10月03日 13時00分

 事業の組み立てとしてメディアを設計するときに、ターゲット読者層がないとコンテンツを作れません。誰もが読者だと言うと、ガイドの皆さんは記事を書けないので、われわれは「35歳〜40歳代を中心とした人生を楽しむ大人」という読者のペルソナ設定をしました。その読者をブレイクダウンすると、可処分所得が平均より高いだとか学歴が高いだとか都市圏在住だとかがあるのですが、そういう方々がまずはターゲットです。

 そういう方々に対してコンテンツをそろえてサイトに来てもらうのが前提ですので、そういう方々にマッチした広告主にアプローチするが当然です。したがって、説得型商品というか啓蒙型商品というか、その商品の背景やディテールを正しく理解していただいたほうが売れる商品から入っていくのがメディア特性として合っていたわけです。

 こういう理由から、最初に入ってきたのがハウスメーカーだとか不動産、求人、金融商品の広告でした。ただ、ここ1、2年は一般消費財まで広がってきていて、顔ぶれを見ていただくとありとあらゆる業種に広がっています。現在、累計で広告クライアントは2600社ぐらいです。

--以前、「クライアントとは記事広告以上のことをできる」とインタビューでおっしゃっていましたが、具体的にはどういったことなのでしょうか。

 広告から一歩踏み込んだものということで言えば、「スポンサードサイト」があります。

 記事広告というのは、広告主向けの記事を作って、一定期間に340のガイドのサイトから10カ所を選んで読者を誘導するというものですが、スポンサードサイトというのはガイドのサイトそのものを広告主と一緒に立てるというものです。つまり、341番目のテーマを広告主と立てるということです。

 実をいうと340のガイドサイトのうち約40がいわゆるスポンサードサイトなのです。ですから、記事タイアップではなくてサイトタイアップなのです。これはほかのガイドのサイトと同じ体裁で、ガイドもオールアバウト側で見つけます。編集権もわれわれが持つ中立的なコンテンツを提供します。競合他社の情報も入れます。というのも、読者が賢くなっているので、そういう情報を入れておかないと読んでくれないからです。

 広告主としてなぜスポンサードするのかというと、読者が賢くなってきているので、企業がこれから取り組んでいく中期の戦略テーマに関する啓蒙の機会を他社に獲られないようにするとか、読者や消費者の学習段階における情報シェアを獲るということが企業にとって最近は重要になってきているんですね。

 そのときにオールアバウトは、そういう読者が学習しに来る場所だと思うのです。そこで、企業がそのテーマを押さえるということです。いろいろと学習してもらったあと、広告スペースのような読者のアクション導線は広告主が押さえているので、最終的には広告主のところにいくようになっています。なので、スポンサードサイトでは1テーマに対して1社がスポンサードするという契約になっています。

--オンラインショッピング事業も開始しましたが、詳しく教えてください。

 スタイルストアという事業を広告に次ぐ第2弾の事業として開始しました。これはオールアバウトらしいやり方なのですが、プロが選ぶセレクトショップです。ただプロというのは、これまでの「ガイド」というコンテンツのナビゲーターとしての専門家ではなく、今回は商品提案の専門家ですので「スタイリスト」と呼ぶことにしたのです。

 スタイリストは商品サプライヤーであるメーカーや販売会社と関係を持つ方なので、われわれが商品の選定や仕入先の発掘を1つ1つこなしていかなくても、そういう方が紹介してくれますので、社員がやるよりも一気に広がっていきます。

 また、在庫リスクをもたない委託販売にしています。そのかわり決済だとか物流だとかはすべて提供するので、こだわり商材を持つ商品サプライヤーにすれば、われわれに商品を預けていただければすべてOKということになります。スタイリストにも一定の割合で還元があるので、スタイリストの方も頑張って商品を紹介すればするほど実入りが増えるようになっています。

--アフィリエイトサイトを自社の中でやっている感じですね。

 ブランドを保ったアフィリエイトのようなものです。今後はガイドのサイトからもアフィリエイトでトラフィックを流すようにするので、ぐるぐる自立回転で大きくなっていく仕組みなんです。また、一般に情報紹介型のコマースサイトですと、アフィリエイトのマージンは3%から7%ぐらいですが、われわれはその10倍以上のマージンを提供しています。

--かなりスタイリストに頼るところが大きそうです。

 そうですね。その人たちが活躍できる環境を、われわれがどのように用意できるかだと思っていて、そういう意味でいうと、ガイドサイトでガイドを入れてコンテンツを作るのとマネージメントのノウハウが同じなのです。共通のやり方で違う領域の事業にできるわけです。

--読者はユニークユーザーで1000万人ぐらいいると聞いていますが、リピーターが多いのでしょうか。

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