ソフトバンクグループは9月6日、岩手県競馬組合との業務提携を発表した。岩手県競馬組合が主催する競馬レースの勝馬投票権を、ソフトバンクグループがインターネット経由で販売する。
ソフトバンクグループは、2006年春をめどに勝馬投票権の販売をコアとする競馬のポータルサイトを立ち上げる。同サイトでは、勝馬投票権の販売のほか、岩手競馬における出走馬や騎手、オッズ等の関連情報を提供する。盛岡競馬場および水沢競馬場では、携帯電話を介して観客席やパドックなどで勝馬投票券の購入ができる。
また、直接現場で競馬観戦ができない顧客のために、競馬の様子をインターネットで動画配信するほか、若い世代にチケットの買い方や競馬の楽しみ方を伝えるためのハウツーコンテンツを提供する。さらには、岩手競馬の専門誌「テシオ」の編集長、松尾康司氏をはじめとする競馬関係者のブログや、サポーターズクラブ、競馬予想のコンテンツなども提供する。ほかにも、ソフトバンクグループのゲーム関連企業ガンホー・オンライン・エンターテイメントやエヌ・シー・ソフトなどのリソースを生かした、競馬のオンラインゲームを展開する。
ソフトバンクグループ代表の孫正義氏は、「トータルに統合した競馬のポータルサイトを提供したい。全国に競馬ファンを広げるきっかけとなる」と述べた。
ソフトバンクの孫氏(左)と岩手県知事の増田氏(右)。地方競馬の全国展開実現をめざす |
地方競馬の売上が下降の一途をたどる中、岩手競馬では2005年2月に経営改善計画を打ち出し、「競馬人口の年齢層を拡大し、より多くの顧客に参画を呼びかける」、「岩手競馬の商圏を拡大し、北東北から全国への展開を図る」という目標を立てた。2005年1月には、競馬実施に関する事務を民間企業に委託できるとした改正競馬法が施行されており、「戦略を実現するために、ソフトバンクグループとの交渉をはじめた」と、岩手県知事で同県競馬組合管理者を務める増田寛也氏は提携の経緯を説明した。
孫氏は、「ソフトバンクとして競馬に参入してよいものか、最初は悩んだが、競馬の収益は、教育や社会福祉、保険医療などに使われており、社会貢献のために必要な財源だと理解した」として、参入を決意したと述べている。
岩手県競馬組合によると、日本中央競馬会(JRA)の場合、電話やインターネットによる勝馬投票権の販売は右肩上がりで、売得総金額の42%が電話やインターネットによるものだが、岩手競馬の場合はそれがほんの3%だという。孫氏もこの格差に目をつけ、「電話やインターネットで投票が可能となることで、ビジネスチャンスが広がる」としている。
岩手競馬では、昨年度末の累積赤字として140億円を抱えているが、今回ソフトバンクグループと提携したことで、「2007年度以降の黒字転換を実現する」としている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」