2005年3月9日に大証ヘラクレス市場に新規上場したばかりのガンホー・オンライン・エンターテイメントの株価が、公募価格の120万円に対し、4月6日時点で一時1979万円まで上昇した。わずか1カ月足らずの20営業日で、16.5倍を上回る暴騰ぶりだ。さすがに1979万円の高値をつけた直後からは、利益確定の売りに押されて一気に下落、その日は一時1390万円となるなど、非常に激しい乱高下相場となっている。
同社はオンラインゲームの運営と、それに関連したメディアミックス事業を手掛けるベンチャー企業だ。筆頭株主はソフトバンクBBで、代表取締役会長の孫泰蔵氏はソフトバンク社長の孫正義氏の実弟となる。オンラインゲームのパイオニア的存在で、2002年に同社が「ラグナロクオンライン」のサービスを開始してから、日本におけるオンラインゲームの歴史が本格的にスタートしたといえる。現在の登録会員数は約90万人となっている。
「ラグナロクオンライン」は、オンラインゲーム先進国の韓国で人気を集めたロールプレイングゲームだ。ガンホーはこのライセンス許諾を受け、2002年12月に有料サービスを開始した。これが日本でもヒットし、2004年にはテレビアニメ化が実現し、関連商品市場も広がった。2004年12月期の中間決算におけるラグナロク関連の売上高は、全体の99.8%を占めている。
ほかにも同社は、韓国や国内のゲーム開発会社からライセンス許諾を受けて、「A3」「ポトリス」などのゲームを配信中だ。ゲームのジャンルや対象年齢を変えて幅広いユーザーの獲得を目指しており、登録会員数が約90万人という数字は、国内最大規模となっている。「オンラインゲームはゲームというよりコミュニティで、仲間や友達ができるとやめられなくなる」(代表取締役社長 森下一喜氏)としており、会員数はさらに増加傾向にある。
今後は自社開発ゲームの投入により、収益力の向上を図る方針を打ち出した。現在、新たに2ゲームを自社で開発中で、今下期にもサービスを開始する予定だ。同社会長の孫泰蔵氏は上場直後の会見で、「当社は主にオンラインゲームの運営を手掛ける。現在、他社からライセンスを受けて5ゲームを提供し、1ゲームをテスト配信している。今12月期の下期には新しく3ゲームを投入する予定だ。このうち2ゲームは当社開発のゲームで、来期以降は利益率の向上が見込める。一方、将来的にはゲームにとどまらず、エンターテインメント全般を包括した、いわばインターネット上のディズニーランドのような会社を目指す。M&A(企業の合併・買収)も視野に入れて、年商1000億円達成をイメージしている」と話している。
同社は、新規上場初日から強烈な買い人気を集めて、初値は420万円を付けた。準大手証券アナリストによれば「公開株数が1000株と極端に少なく(発行株式数1万6360株の6%、通常20%程度のケースが多い)、品薄状態による株価の急騰しやすさに、“ソフトバンクプレミアム”も加わって人気が沸騰したようだ。ただ、1株2000万円寸前という株価は、一般の個人投資家にとっては高嶺の花状態で、観賞するだけになっている。早期の株式分割が望まれる。いずれにしても、2000万円という株価はかなりの行き過ぎであることは確かで、早晩1000万円を少し下回る程度の水準に収束することになりそうだ」との見方がある。
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