ビデオを隔離する
Windows Vistaでは、ビデオ/オーディオの処理方法にいくつかの大幅な変更が加えられることになるが、ただしこれらは現在ベータテスターに配布されている初期バージョンにはほとんど組み込まれていない。そして、残りのコンポーネントは次のベータリリースで追加される可能性が高く、来年発売される正式版には間に合うと見られる。
一部のオーディオ/ビデオファイルは--少なくともMicrosoftのWindows Mediaフォーマットであれば--新たに設けられる「保護環境」の内部で処理されることになる。この環境では、メディアプレイヤーやプラグインなどのアプリケーションが、実際のメディアデータとは別の部分に置かれる。
これはつまり、オーディオデータのデコード、ロック解除、再生といった負荷の高い処理の大半が、専用のモジュールで行われることを意味する(エンジニアはこうしたモジュールを「サンドボックス」と呼んでいる)。そのため、メディアプレイヤーは、現在のようにデータを直接処理するのではなく、再生、早送り、停止といった遠隔操作コマンドを、この保護された空間に送ることになる。
また、「Protected Video Path」と呼ばれる技術によって、ビデオストリームは暗号化されたまま、モニタなどのディスプレイ用機器まで送信される。それにより、ビデオのコピーが難しくなる。
大半のアナログ端子や、一部のデジタル端子はこのようなコピー防止機能をサポートしていないため、こうした仕組みが常に可能になるわけではない。そこで、コンピュータに接続されたデバイスと信号が流れるケーブルの種類をチェックし、コンテンツを暗号化できるか、あるいはその接続でコンテンツを保護できるかどうかを判断するのが、Vistaの役割の一部となる。
高解像度のVGAや初期のDVIなど、確実にコピーを防止できると限らない接続の場合には、コンテンツ所有者からの要請に応じ、コンピュータがこれらコネクタへのビデオ出力を完全に遮断することも可能になる。
また、VistaにはHDビデオの解像度を引き下げ、完全なオリジナル版よりも若干ぼやけたバージョン(今日のDVDと同程度)を出力する機能も搭載される。これは、コンテンツ保有者が貧弱なコピー防止機能しかもたないテレビなどにはHDビデオを流したくないような場合に、接続を完全に遮断する代わりに利用可能な機能だ。
この機能は、ほとんどのHDテレビには影響しない。これらのテレビには、違法コピー防止が可能な接続技術が搭載されているからだ。一方、PC用モニタの場合は、接続時のセキュリティを確保するIntelのHDCP(High-Bandwidth Digital Content Protection)などのツールの導入がそれほど進んでいない。
Microsoftによると、Vistaが搭載するこれらの高度なコピー防止機能は大半がHDコンテンツ向けとなっており、今日のDVDや放送品質のコンテンツの再生に影響する可能性は低いという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
トラディショナルからモダンへ進化するBI
未来への挑戦の成功はデータとともにある