アップルのナンバー2が語る音楽サービス成功への自信

藤本京子(編集部)2005年08月04日 18時51分
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 8月4日、ようやく日本での「iTunes Music Store」(iTMS)をオープンしたアップルコンピュータ。同サービスの展開は世界で20カ国目となるが、iTMSではすでに5億曲を販売している。

 iTMSの開始にあたっては、Apple ComputerのCEOであるスティーブ・ジョブズ氏が来日して発表会を開催したこと(関連記事)からも、同社の真剣度が伺える。iTMSとiPodについて、同社のナンバー2といわれるワールドワイドプロダクトマーケティング担当シニアバイスプレジデントのフィリップ・シラー氏に聞いた。

--とうとう日本でもiTMSが始まりましたね。サービス開始に向けた取り組みで一番苦労した点は何でしたか。

 楽曲を提供してくれるレコード会社との契約交渉ですね。現時点で日本のレコード会社15社と契約を結んでいますが、今後契約数はさらに増える予定です。

--15社とは、どの企業なのでしょう? その中にソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は入っていますか。

 一部名前を挙げると、東芝EMI、 ユニバーサル ミュージック、エイベックス ネットワーク、コロムビアミュージックエンタテインメント、ヤマハなどです。SMEは今のところ入っていませんが、アプローチしています。

--日本では、すでに多くのオンラインミュージックストアが2004年頃からオープンしていますが、後発となったにも関わらずiTMSは非常に注目を集めています。iTMSの強みは何でしょう。

 まず、iTMSは世界最大の音楽配信サービスだということです。それにはいくつか理由がありますが、まずはセレクションが多いことが挙げられます。iTMSでしか提供していないオリジナルコンテンツもありますからね。次にサービスの質が高いことです。性能の高いエンコーディング技術ですべての楽曲を視聴できるようにしたのも我々が初めてです。また、価格も魅力のひとつでしょう。現在米国では1曲99セントで提供していますが、日本でも90%の曲は150円で提供することが可能となりました。

 さらに、iTMSでは多くの機能を提供しています。好きな楽曲をユーザーが自ら集めてアルバムを作成し、公開できる「iMix」機能も大変人気が高いですね。ギフトカードで楽曲をプレゼントできるのも特徴です。そして何よりも、iPodと連携できることです。iPodはデジタル音楽プレーヤーとしてシェアトップですから、iPodとの相性の良さは大きな意味を持ちます。

--価格が他社のサービスより安くできた理由はどこにあるのですか。そこも交渉で苦労した点なのでしょうか。

 残念ながら、交渉内容について詳細はお話しできません。

--DRM(Digital Rights Management)技術のFairPlayについて聞かせてください。現在、多くのオンラインミュージックストアでは独自のDRM技術を採用しているため、こうしたストアで購入した楽曲がiPodで再生できないという事態が起こっています。FairPlayがオンラインミュージックストアにおける標準となれば、ユーザーもiPodにダウンロードできる楽曲が増えてより使い勝手が良くなると思うのですが、FairPlayを他社にライセンス供与する予定はないのですか。

 すでにパートナー企業にはライセンスしていますよ。Motorolaとの提携の下、同社の携帯電話でiTMSの楽曲を再生することもできます。

 ユーザーが音楽配信サービスで望んでいることは、自分の好きなすべての楽曲にアクセスでき、自分の持つデジタル音楽プレーヤーで再生できることでしょう。我々がiTMSで実現しようとしているのはまさにそれで、手ごろな価格で楽曲を提供し、やりたいことがすべてできるサービスを作り上げることです。iPodは現在一番シェアの高いデジタル音楽プレーヤーですから、我々がまず注力したいのは、iPodにフォーカスしたサービスを提供することです。

--ところで、日本でアイチューンズ株式会社を設立されましたね。iTMSは同社が中心となって展開するようですが、これはどのような会社なのですか。

 アイチューンズは、アップルコンピュータの日本法人と同じく、米Apple Computerの一支社という位置づけです。同社は、レコード会社との交渉をはじめ、iTMS内でどの曲を押し出していくのかを決めるなど、iTMS事業の全般を担当します。iTMSオリジナルコンテンツとして音楽ビデオや特別アルバムなどがありますが、アーティストやレコード会社と一緒になってこうした企画を実現するのも同社の仕事です。社員数などの詳細はお話しできませんが、日本の音楽業界で経験を積んだ人材がそろっています。日本でiTMSのビジネスを展開するにあたって、日本の音楽業界経験者は不可欠ですからね。

--ひとつのサービスのために新会社を設立するということは、非常に大きなことですね。

 はい。iTMSのためにここまでリソースを投入するということは、我々にとっても特別なことです。それだけ、このビジネスを成功させたい思いが大きいのです。

--他国でもアイチューンズのような会社を設立しているのですか。

 同じような組織は、アメリカ、ヨーロッパ、カナダにもあります。iTMSを展開するにあたって、その国々に合った組織作りをしています。

--今後iPod関連のサービスや製品は、どのような進化を遂げるのでしょうか。iTunesに音楽ビデオをダウンロードして視聴できるデモは見ましたが、次はiPodからビデオが見られるようになりますか。

 今後の製品についてはお話しできません。ただ、iTMSからビデオがダウンロードできるようになったことは大きな進化です。これは、他のどのオンラインミュージックストアでも提供していないサービスです。アルバムをiTMSで購入する特典としてビデオがついてくるといったことは、実際の音楽CDでも実現できなかったことで、iTMSが世界中のアーティストから多くの支持を得ているのも、こうしたサービスが実現できるからでしょう。

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