Apple Computerが長年の伝統を破ってMac向けにマルチボタンマウスを発表した。
「Mighty Mouse」という名前のこの49ドルのマウスは、360度のスクロール可能なスクロールボールを搭載するほか、左右側面をつまむことでクリックとして検知されるようにカスタマイズでき、Apple信者向けにはシングルボタンマウスとしても機能する。
Windows PCでは、何年も前からマルチボタンマウスが標準となっており、Mac OSでも以前から右クリックを認識するようになっていた。しかしAppleは1ボタンのデザインを踏襲し続け、Bluetooth接続のワイヤレス版を追加するなどしても、1ボタンのデザインを変えなかった。
AppleのDavid Moody(Mac製品マーケティング担当バイスプレジデント)によると、同社は、スクロールと複数ボタンの機能を持ちながら、1ボタンマウスと同じように簡単に使えるものがデザインできるようになるのを待っていたという。
「市場には、膨大な種類のマルチボタンマウスが出回っているが、これらにはどこかしら複雑な部分がある。デザインや使いやすさでは絶対に妥協するつもりはなかった」(Moody)
Mighty Mouseのデザイン自体は現行のMac用マウスとあまり変わらず、白いプラスチックのケースで覆われているため、複数のボタンの存在はすぐには分からない。左右のクリックは、ボタンではなくタッチセンサで検知する。ほかにも、小さなトラックボールが上部に突き出ていたり、左右側面にはボタンとして機能する灰色がかった部分がある、などの変更点がある。同社によると、側面のボタンはプログラム可能で、これをクリックするだけで、Mac OS X ver. 10.4「Tiger」に搭載される「Spotlight」や「Dashboard」といった機能を呼び出せるという。
同社CEOのSteve Jobsと共同でAppleを設立したSteve Wozniakは、最新世代のAppleマウスをとても気に入っているが、新たに出されるマウスには秀逸な2次元スクローリング機能の搭載を望む、と語ったことがあった。
同氏は、電子メールでのインタビューに答え、「新しいマウスはスタイルが変わっておらず、無条件で気に入った」と述べている。
Wozniakは、PowerBookやiBookの最新版に搭載されている2本指で画面をスクロールできるトラックパッドを高く評価していることから、新しいマウスのスクロールボールも気に入るはずだと述べた。「いまは、普通のユーザーのように様子見の段階だが、店頭で見かけたら1つ買うかもしれない」(Wozniak)
Mighty Mouseのすべての機能を利用するには最新版のMac OS X Tigerを必要とするが、Macの古いバージョンや、Windows XPおよびWindows 2000でも2ボタンスクロールマウスとして機能する
1984年に登場したオリジナルMac以来、AppleはすべてのデスクトップMacにマウスを同梱してきた(Mac miniで初めてそれが変更された)。最初期のMac用マウスはベージュ色で、大型のボタンが中央に1つ配置されていた。キャンディーカラーのiMacが登場する頃になると丸形マウスが追加されたが、これはすぐに「ホッケー用パック」と呼ばれるようになり、人間工学に明確に反するとして批判を浴びた。
Appleは2000年に、このホッケーパック・マウスに換えて、新たに透明と黒(後には白)を組み合わせたデザインのマウスを登場させた。全体を押すようにしてクリックするこのマウスは、ここ5年間Macとともに出荷されてきている。同社は2003年9月にこのマウスのワイヤレス版を発表し、同じくBluetooth接続のキーボードとともに売り出した。
コンピュータ用マウスの歴史は、1950年代にこれを発明したエンジニアのDoug Engelbartまで遡る。同氏の発明はやがてNASAからXerox PARC(Palo Alto Research Center)へと受け継がれ、そしてAppleがこれを一般に普及させることに成功した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス