楽天、顧客情報管理体制を一新:三木谷社長がセキュリティ本部長に - (page 2)

別井貴志(編集部)、永井美智子(編集部)2005年08月01日 21時20分

 R-Card plusの申し込み店舗数は3300店舗あり、実際に現在利用しているのは2400店舗。残りの900店舗はカード会社の承認待ちの状態にある。8月11日までには、あと100〜200店舗程度の店舗が利用できるようになる見込みだ。

 R-Card plusについて三木谷氏は「1つは個人情報保護の観点、もう1点は出店者の決済関連コストをさらに下げていくという点で2月から導入を進めてきた。ただし、商取引に関してはあくまでも店舗と消費者の間ということで、われわれの方で強制加入ということはなかなかしづらかった。今回のようなことが起こって、これについては店舗の方にも納得していただいて、加入を促進できるのではないかと思っている」とアピールした。

 つまり、8月11日からのカード決済代行あんしんサービスは、R-Card plusへ移行する暫定的な処置だ。ただし、カード決済代行あんしんサービスを利用したくないという店舗は、8月11日からカード決済ができなくなる。また、店舗はこの決済サービスに関して、当初2カ月間は無料で利用できるものの、3カ月後からは1件いくらという形でコストを負担しなければならない。詳細は、店舗側に改めてきちんと説明される。なお、楽天のユーザー(消費者)側の負担は一切ないという。

 さらに9月1日からはメールフォワーディング機能も導入し、出店者側にユーザーのメールアドレスが渡らないようにする。

店舗側のセキュリティ体制も強化

 管理・運営面のセキュリティも強化する。まず8月中に出店者へのセキュリティ対策実施状況に関してオンラインで聞き取り調査を行う。また、各店舗におけるセキュリティ責任者を明確化し、セキュリティ対策に関する簡易テストを実施する。このテストに合格しなければ、楽天市場での店舗運営はできなくなる。

 このほか、出店者向けのセミナー「楽天大学」における個人情報取扱い講座の開設、各店舗の情報管理状況の定期的な点検、店舗管理システムにログインするために必要なパスワードの変更期間の短縮などを施策として掲げている。

 なお、個人情報の流出件数については、7月28日の発表から変更はなく、センターロードが運営するAMCの店舗取引情報284件のみを確認しているとした。「引き続き警察当局ならびに当該店舗(センターロード)と連携しつつ、警察当局による犯人検挙に向けて最大限協力する」と述べている。

 今回の情報流出事件に関して、1日に都内で開かれた記者会見では「捜査が進展していることもある。事態がはっきりしてから改めて説明したいので、今日は何の質問にも答えられない」(三木谷氏)として、質問は今回の新体制に関する件に絞られ、カメラ撮影やビデオ録画は禁止された。

 そうした中にあっても、楽天の情報管理に関するスタンスは何度も語られた。「楽天市場は出店者と消費者の取引をブリッジする役割なので、販売契約や商取引については、出店者と消費者の間で行う。これに関しては相対取引なので、我々の方で情報を店舗に一切渡さないということが事実上難しい。顧客情報に関しては基本的に楽天と出店者の共同保有なので、すべての顧客情報を取り上げるということは警察ではないため無理だ。基本的には店舗に注意を促しつつ、今回発表したチェックやテストなどの施策を通して啓蒙していくしかない」(三木谷氏)としている。

 また、現時点でクレジットカード番号を持っている店舗の数や件数について三木谷氏は「いっさい答えられない」とし、その理由は「当然銀行であれば、うちの金庫にいくらお金が入っているという話はできないわけで、うちとしてもその情報は公開できない」と述べた。

AMCは楽天の姿勢に反論

 この一方で、取引情報が漏洩したAMC(センターロード)は7月30日付けで同社サイトにコメントを掲載した。「現在、楽天市場と当社で協力し、正式に警察に調査依頼をすると共に、あらゆる観点より調査継続中ですが、今のところ漏洩先の特定には至っておりません。今回の漏洩に関して、指摘されるデータは楽天市場の管理下にあるため、当社はお客様よりお問い合わせ頂きましても、照合できない状態にあり、ご確認ができない状態にあります」とした上で、以下のように状況を説明している。

 「過去の、個人情報の流出事件のそのほとんどが、人為的原因から発生した事が多いために、当社では、退社社員派遣社員・パート・アルバイトを含む全ての弊社と雇用関係が一時でもありました方、全てを洗い出し検討した結果、当社よりの人為的要因から漏洩した事とは思えないとの認識を致しております。当社従業員数は現在12名がおりますが、数名を除いてパソコン等のレベルは高い位置になく、ある程度のレベルを持つ者につきましても、小所帯のため、身辺状況も把握し家族的な付き合いからなる会社であります。今回、漏洩先が未確定の状態にも関わらず、当社と断定するかのような表記にてメール送信されましたこと、また、一部の報道機関による当社への疑いとも思える報道記事には、大変、残念に思います」

 「また、セキュリィティー関係に関しては、店舗レベルでは、最高レベルに近いシステムをもち、セキュリティー強化に心がけており、常にリアルタイムでスパイウェア等を含むウイルス対策を講じております」

 「漏洩が当社側にあると判明されました場合には、当社は、今後のネット市場の信頼を取り戻し、その責任を果たすべく、謙虚に受け止め、責任が発生する物に関しては全力を持ち対応をさせて頂き、具体的に、明確な対応策を打ち出し、その責任を果たす所存であります」

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