ウェブページのキャッシュで著作権違反?--カナダで法案審議へ - (page 2)

Elinor Mills(CNET News.com)2005年07月20日 20時33分

 C-60法案に関しては、著作権保有者が主張可能な救済措置について書かれている条文も不安要素の1つだ。その条文には以下のように記されている。「作品その他の素材の著作権の保有者は、その作品その他の素材の複製の作成/保存によってその著作権を侵害した、情報の場所を示すツールの提供者に対し、(著作物の)使用差し止め以外のいかなる救済策も要求する資格を有しない。」

 C-60法案を作成した複数の部門の1つに所属するある政府関係者によると、その条文は検索エンジンの保護を強化する目的で盛り込まれたという。カナダの現行法の下では、著作権保有者は、著作物を複製していると思われる企業を、許可を得ることなく訴えることができる。たしかに、著作権侵害の疑いがある者に使用停止を求める通知を送付するのが一般的な方法であるが、現行法ではそのような警告は義務付けられていない、と語るのは、カナダ連邦産業省(Industry Canada)のIntellectual Property Policy Directorate(IPPD)担当ディレクター代理Albert Cloutierだ。

 C-60法案の下では、著作権保有者は通知してからでないと金銭的損害賠償請求訴訟を提起できない。そのような通知を行う前は、(著作物の)使用差し止め請求に限られる。Cloutierによると、同法案では著作権侵害が成立する状況や条件は変更されていないという。

 「つまり、著作権侵害が成立する場合には、セーフハーバー(それさえ守っていれば責任を問われないという規定)が存在するということだ」(Cloutier)

 Knopfによると、検索エンジンに関する条項が法案に盛り込まれた意図は、部分的なセーフハーバーを提供することにあると同氏は考えているという。しかし、同氏は「(法案の)起草に伴う様々な問題」、すなわち、不注意な言葉遣いや言い回しが原因で、本来の意図とは逆の効果が発生し、ウェブの主要なパラダイムの1つが台無しになるのではないか、と懸念しているという。

 「インターネット上に気軽にコンテンツを掲載し、アーカイブを制限する手段を講じない人は、他の人々がそれを閲覧、印刷、保存し、Googleがそれをキャッシュし、さらにarchive.orgがそれを保存することを予期する必要がある」(Knopf)

 Cloutierによると、現行法には、インターネット上に情報を掲載している人々が、それらの情報を検索エンジンがキャッシュすることに対して、暗黙の許可を与えているのか否かについて明記されていないという。

 Cloutierや弁護士らによると、カナダでは今のところ、検索エンジンが著作権侵害で提訴されたケースはないという。「(しかし、)理論的には(検索エンジンが)著作権侵害の法的責任を負う可能性がある。カナダの裁判所が現行法の下で(キャッシュなどの)行為をどのように扱うかは未知数だ」とGeistは語る。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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