8月24日開業予定の「つくばエクスプレス」を運営する首都圏新都市鉄道と、インテル、NTTブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)の3社は7月14日、列車内での無線LANインターネット接続サービス提供に向けた実験運用で協力すると発表した。
実験運用では、NTTBPが駅舎や車輌に無線LAN装置を設置し、列車内で無線LANによる高速インターネット接続環境を構築する。駅と列車間は2.4GHz帯のIEEE 802.11b/gで接続し、車内はIEEE 802.11bでエリア化する。また車両間は、複数のアンテナで通信の高速化を実現するMIMO(Multi Input Multi Output)を採用し、5GHz帯のIEEE 802.11aで中継する。まずは、区間と車輌を限定して実験を行い、2005年度中につくばエクスプレス沿線全線と、秋葉原駅からつくば駅間を運行する全編成車輌で実験を実施する予定だ。
これまでインテルでは、Centrinoをベースとした無線LANの利便性をユーザーに伝えるため、空港や駅などさまざまな場所での無線LANアクセスポイント設置を推進してきた。しかし、インテル 代表取締役共同社長の吉田和正氏によると、電車の中でも無線LANを使いたいというユーザーニーズが大きかったという。「移動空間の中で無線LANを整備することは非常に難しいが、今回は3社の協力で実験までこぎつけた」と吉田氏は述べ、今回のサービスでCentrino技術の活用の幅が広がることへの期待をのぞかせた。「新技術を用意しても、サービスが使える環境を整備しなければユーザーに受け入れてもらえない。これからもさまざまなサービス環境を整えていかなくてはならない」(吉田氏)
列車内の実験運用では、接続性やスループット、ハンドオーバー等の技術的検証を実施し、システムの実現性と有効性を確認した上で、ビジネスモデルを作成する。商用サービスへの移行時期や価格等は、現時点では未定だ。
また3社は、つくばエクスプレス開業に合わせて主要9駅の駅構内に公衆無線LAN設備を設置する。8月24日の開業時に無線LAN接続サービスを提供する駅は、秋葉原、新御徒町、浅草、南千住、北千住、青井、六町、柏の葉キャンパス、つくばとなる。2005年秋ごろを目標に、全20駅への整備を計画している。将来的には、列車内、駅構内を含めたすべての路線上において、無線LAN環境を整備するとしている。
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