Qualcomm Communications InternationalとBroadcomの両社が、特許権侵害で互いに提訴し合っている影響で、今夏、両社の顧問弁護団は多忙を極めている。
携帯電話/無線技術を開発するQualcommは11日(米国時間)、同社の保有する7件の特許権を侵害したとして、チップメーカーのBroadcomをカリフォルニア州サンディエゴの連邦裁判所に提訴した。
両社の法廷闘争は今回が初めてではない。今年5月には、携帯電話やWi-Fi機器向けの半導体を製造するBroadcomが、同社のVoIP(Voice over Internet Protocol)技術関連特許のうちの数件をQualcommに侵害されたとして同社を提訴した。また、QualcommがBroadcomの特許を侵害している機器や製品を輸入したことが不当な貿易行為にあたるとして、同社はQualcommを米国際貿易委員会(ITC)にも提訴している。
一方、Qualcommは今回提出した訴状の中で、Broadcomが、GSM(Global System for Mobile Communications)、GPRS(General Packet Radio Services)、EDGE(Enhanced Data rates for Global Evolution)といった携帯電話標準に関連して、Qualcommが保有する6件の特許権を侵害したほか、同社が保有する特定のWi-Fi向け相互運用性標準に関する特許1件をBroadcomが侵害しているとも主張している。
Qualcommは、Broadcomに対して、Qualcommの特許権を侵害しているチップの製造/販売の差し止めを求めているほか、損害賠償も請求しているという。
QualcommがBroadcomに侵害されたと主張する特許技術は、無線通信事業者が、より容易に第2世代GSMネットワークから新しい第3世代(3G)無線ネットワークへ移行できるようにする目的で開発された。各通信事業者は3Gネットワークへの移行に向けた準備として、GPRS技術やEDGE技術によって自社ネットワークにデータや各種機能を追加した。これにより、データ転送速度の高速化、周波数利用効率の向上が可能になり、ひいては転送容量の拡大、混信に対する耐性強化、パケット交換ネットワークやマルチメディア配信の利用拡大につながる。
GSMはTDMA(Time Division Multiple?Access)と呼ばれる技術を基礎としているが、新しいGSM標準であるGPRSとEDGEには、特許権で保護されているQualcommのいくつかの技術が使用されていると同社は主張する。これらの技術は、元々CDMA(Code Division Multiple Access)ネットワークの構築を可能にする目的で開発された。その結果、Qualcommは、Broadcomが開発した、GSM標準に準拠した機器向けの集積回路が、不可避的にQualcommの特許を侵害していると考えるに至った。
「Qualcommが持つ知的財産のポートフォリオがCDMAに限られると考える者は、われわれが幅広いビジネスを行っており、またこれらの知的財産を生み出す広範な研究開発を進めていることを見逃している」と、Qualcommのシニアバイスプレジデント兼法律顧問のLouis M. Lupinは声明のなかで述べている。「われわれの知的財産には幅広い分野の技術が含まれており、そしてわれわれは然るべき時にはこれらに関する権利を徹底的に行使することをためらわない」(Lupin)
これに対し、Broadcom側では「Qualcommが本日われわれを提訴したことは、5月18日にわれわれが10件の特許権侵害容疑でQualcommを訴えたことに対する返事だ」と、Broadcomの広報担当Bill Blanningは電子メールによる声明のなかで述べている。「特許をめぐる訴訟では、被告による反訴はめずらしくない」
QualcommはBroadcomの主張に関してコメントしていないが、しかし同社の広報担当は、同社が単に自社の知的所有権を守っているに過ぎないとの考えを繰り返した。
「われわれは事態がここまで発展することを望んでいなかった。しかしBroadcomの主要な製品ラインには、Qualcommの特許を侵害しているものが数多く存在する」(同社広報担当) 」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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