ドイツの裁判所は現地時間8日、昨年流行したコンピュータワーム「Sasser」の作成容疑を認めた10代の少年に対し、1年9カ月の執行猶予付き判決を言い渡した。
さらに、このSven Jaschan(19歳)は3年の保護観察期間中に30時間の地域奉仕活動を行う必要があると、ドイツのフェルデン裁判所は声明のなかで述べている。同裁判所によると、Jaschanは判決で言い渡された地域奉仕活動を高齢者施設や病院で行うことになるという。
Jaschanは、4件のデータ改ざんと、3件のコンピュータ妨害活動で有罪判決を受けた。この判決は、ウイルス作者の起訴が成功した数少ない例の1つとなる。捜査当局にとってウイルス作者を捜査し逮捕に至るのは、一般的には難しいことが分かっている。
Jaschanは裁判のなかで、データの不正操作やコンピュータの妨害行為、公開企業の活動妨害に関する罪を認めた。審理は5日に始まり8日に結審した。Jaschanが犯行時に法律上未成年であったため、この裁判は非公開で行われた。
Sasserワームと、その6種類の亜種は、2004年5月に感染を開始し、数十万台のWindowsコンピュータに被害を与えた。SasserはWindows 2000とWindows XPの欠陥を悪用したが、感染したPCはクラッシュしたり再起動させられるなどの被害が出た。
執行猶予付きの判決は予想通りの結果だった。7日の最終弁論では、検察官が2年の執行猶予付き判決と、3年の保護観察期間を求めた。これに対しJaschanの弁護士は、1年の執行猶予付き判決を求めた。
Jaschanは、Sasserワームの発信を慎重に計画し、感染速度が速く、与えるダメージを最大限に高めた亜種もリリースしたと、同裁判所は判断した。同ワームが与えた損害は測り知れず、裁判のなかではごく一部しか明らかにできなかったと、同裁判所は述べている。
それでも、Jaschanの行為は、孤立して不安を抱えた若者に固有の典型的なものであり、営利目的ではなかったと同裁判所は述べ、Jaschanがこのワームを作成したのは、仲間に自分を認めてもらおうとした結果だと判断した。
ワッフェンセン在住のJaschanは、25万ドルの懸賞金目当てにMicrosoftに提供された情報がきっかけで昨年5月に逮捕されていた。
このSasserのケースは、2003年11月に始まったマイクロソフトのウイルス対策報奨金プログラムでいまのところ唯一の成功例となる。このプログラムは、Sasserを含む大きな被害を出した4つのウイルスやワームについて、犯人捜査に役立った情報を提供したものに総額100万ドルを提供するというもので、そのほか将来支給する懸賞金として別に400万ドルが用意されている。
MicrosoftはこれまでSasserの事件に関する情報提供者の身元を明らかにしていない。だが、同社はこの日、Sasser作者の身元割り出しに力を貸した2人の情報提供者に懸賞金を支給することを明らかにした。2人は25万ドルを分け合うことになるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス