平成電電とドリームテクノロジーズは7月5日、公衆無線LANサービスに参入すると発表した。両社が共同で出資するジャパンワイヤレスを通じて、11月より開始する。サービス開始当初は無料で提供する。
まず政令指定都市に約2万4000台のアクセスポイントを設置し、順次全国にサービスエリアを拡大する。2005年末に人口カバー率を25%とし、2007年には同80%以上(アクセスポイント数は15〜20万台)とする計画だ。
無線方式はIEEE802.11a/b/gに対応する。通信速度を向上させる「MIMO(Multiple Input Multiple Output)」と呼ばれる技術を利用することで、通信速度を最大108Mbpsに高める。
上から動画販売キオスク端末「デジらく」、屋内用無線アクセスポイント、無線LANカード |
アクセスポイントはまず屋内を中心に設置する。フレパー・ネットワークスが提供する動画販売キオスク端末「デジらく」にアクセスポイントを搭載してゲームセンターやインターネットカフェなどに1万台を置く。バックボーンには平成電電のアクセス回線を利用する。
また、希望するユーザーには無線アクセスポイントと無線LANカードを最大10万人に無償で貸し出す。対象は個人、法人を問わないが、アクセス回線は平成電電のサービスを利用する必要があり、回線利用料はユーザーの負担となる。平成電電はこれにより、同社のADSLサービス「電光石火」の拡販を図る狙いもある。
屋外のアクセスポイントについては、設置場所の交渉が必要なため敷設には時間がかかる見込みだ。アクセスポイントを置ける場所を持つ企業をパートナーに迎えることで、エリア拡大を図るものとみられる。
料金は当初無料だが、利用者は専用の無線LANカードを購入する必要がある。ジャパンワイヤレスの専用サイトから申し込みを受け付ける予定だ。人口カバー率が50%を超えた時点で有料化する計画で、2006年上期にも課金を始めたい考え。利用料金は未定だが「ウィルコムなどのライバル企業の半額程度にする」(ドリームテクノロジーズ代表取締役社長の山本勝三氏)としている。
公衆無線LANサービスはライブドアが月額525円で定額使い放題のサービスを10月に開始すると発表したばかり(関連記事)。山本氏は「ジャパンワイヤレスのサービスは早期に全国でサービスを展開する予定で、ライブドアのサービスとは規模が異なる。ローミングなども考えていない」とした。
ジャパンワイヤレスは、将来的に無線LANとWiMAXを組み合わせて提供したい考えだ。現在IEEE(米電気電子学会)で標準化が進められている通信規格802.16eに準拠した「モバイルWiMAX」と呼ばれる方式を採用する。802.16eは時速120kmの移動環境でも15Mbps(周波数5MHz幅利用時)で安定した通信が可能になるというもの。 モバイルWiMAXを利用すると移動中でも通信が途切れないというメリットがあり、音声通信サービスを展開することも検討中だ。
同社では2006年上期にもWiMAX用の周波数の割り当てを受け、WiMAX基地局を設置して無線LANとWiMAXを組み合わせたサービスを開始したいと話す。しかし802.16eはまだIEEEで規格が標準化されていないこと、さらに現在WiMAX用に用意された周波数帯が国内に存在しないことから、「実際のサービス開始はずれ込む可能性もある」と平成電電代表取締役の佐藤賢治氏は話す。
設備投資額は「公衆無線LANサービスとWiMAXを合わせて100〜300億円程度となる見込みだ」とドリームテクノロジーズの山本氏は話す。資金調達の方法については明らかにしていないが、「デジらくにアクセスポイントを搭載させることで、アクセスポイント自体が収益を生む。また、企業のネットワーク構築を請け負うネットワークソリューション事業も展開する。これらの事業で100億円をほどの売上を見込んでおり、実際にはさほど資金を調達しなくてもすむのではないか」(山本氏)と自信を見せた。
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