フェンリルは6月30日、Internet ExplorerコンポーネントとGeckoエンジンを利用したフリーウェアのタブブラウザ「Sleipnir」の最新版である「Sleipnir2」のアルファ版を発表した。Internet ExplorerのHTML解析エンジンとGeckoエンジンの切り替えを実現したブラウザーだ。
アルファ版は、Sleipnir2のテクノロジープレビューを目的としており、現時点では、Internet Explorer と同等の機能までしか実装していない。公式サイトからダウンロードできる。
最大の特徴は、主要機能である「タブ」でさえプラグインで提供するなど、プラグインによるさまざまな機能の拡張と、軽快な動作だ。また、ブラウザの外観を変えるスキンをはじめ、ツールバーやステータスバー、ドッキングコントロールなどの独自開発により、ユーザーの好みに合わせてカスタマイズできる点もパワーアップされている。パスワードの入力が必要なサイトなどで、自動的にログインIDやパスワードを入力できるツール「Al RoboForm」がインストールしてあれば、ツールバーに表示される。
さらに、携帯電話からPC向けウェブサイトが閲覧できるフルブラウザ「jigブラウザ」で編集したお気に入りをSleipnir2 アルファ版へエクスポートする機能を装備した。これは、フェンリルとjigブラウザの企画や開発、運営を行うjig.jp社との業務提携で実現した。これまで、jigブラウザでは、PC用ウェブブラウザのお気に入りをインポートする機能は実装していたが、jigブラウザで編集したお気に入りをPC用ウェブブラウザにエクスポートすることはできなかった。PCと携帯電話のブラウザ間で相互にお気に入りのデータを読み込み可能としたのは今回が業界で初めてのことだという。
現時点ではIEと同等の機能しか実装していない。お気に入りの整理や移行もできないが、ベータ版までに旧バージョンのSleipnirと同等の機能をプラグインで実装する予定となっている。また、ベータ版では、jigブラウザとSleipnir2のお気に入りやRSSなどのデータを同期させて相互に編集し、管理できる機能も追加する。ベータ版は7月中旬頃に公開し、正式版を7月末頃に公開する予定だ。
軽快な動作と自分好みにカスタマイズできることから熱狂的なファンがいるSleipnirだが、2004年11月に開発者の柏木泰幸氏が、Sleipnirのソースコードが保存された開発用PCとバックアップ用PCが盗難にあって開発の継続が危ぶまれていた。その後、Sleipnirをさらに使いやすいソフトウェアにするために柏木氏は、資本金1000万円で6月13日に「フェンリル株式会社」を設立し、後継版の開発を進めてきた。同社では、ブラウザの開発だけではなく、ウェブアプリケーションの企画や開発、マーケティング、ウェブ用コンテンツの提供、インターネット上での各種情報提供サービスなどを手がけていく予定だ。
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