ワシントン発--米国地方裁判所元判事のThomas Penfield Jacksonは、いまでもMicrosoftを分割すべきだったと考えている。同氏は、Microsoftの独禁法違反をめぐる裁判に極めて厳しい態度で臨み、その後、その不規則な言動から担当を解任された人物だ。
米国独占禁止法調査協会(American Antitrust Institute)で米国時間21日に講演したJacksonは、「Microsoftはあの裁判の間じゅう、闘争的かつ挑戦的な態度を取り続け、過去の行動を悪びれず、今後も同じ対応を続ける決意を示していた」と述べた。
「Windowsは独占的立場にあるOSであり、そして同社のビジネス戦略は、Windowsを強化し続け、ソフトウェア市場のほぼ全体を支配するというものだった。判決を下して5年が経過したが、私が見る限りでは、あの時から状況は何も変わっていない。Microsoftは米国でのブラウザ戦争に勝利した。Netscape Navigatorの方は、たとえまだ入手できるとしても、シェアは微々たるものだ」(Jackson)
Jacksonは2000年6月に、Microsoftを2つに分割して、片方にオフィス用ソフトウェアとブラウザを扱わせ、もう一方には他の製品をすべて扱わせるようにすべきだとの判断を下した。
Microsoftは、独禁法違反の容疑で米司法省と各州の検事総長に提訴されていたが、Jacksonは裁判開始当初から、公私両方の場で極めて声高に同社の批判を展開した。Jacksonは、Microsoftの経営陣を暗黒街の殺人者や手に負えない頑固者にたとえ、角材で徹底的に打ちのめすべきだとした。また、Microsoftに批判的なLarry Lessigを裁判の「スペシャルマスター」に任命した。スペシャルマスターとは、裁判官に次ぐ力を持った中立の立場の専門家で、論争の生じた点について事実かどうかを評価する役割を負っていた。
しかし、ワシントンD.C.の巡回連邦控訴裁に最も強い危機感を与えたのは、Jacksonが習慣的に、気に入った報道陣だけを自室に招き、世界で最も有名な独禁法裁判の被告を罵倒する会話を、公判中に繰り返した点だった。Harry Edwards首席裁判官は当時、「もし判事全員がこのようなことをしていたら裁判システムが崩壊する」と警告した。
その結果、Jacksonは同裁判の担当をはずされた。D.C.巡回連邦控訴裁は、Jacksonが「公判を大きく汚した」との判断を全員一致で下し、Colleen Kollar-Kotelly判事を新たに任命した。控訴裁判所はさらに、Microsoftを分割するとのJacksonの判断についても無効を宣言した。裁判はその後、2001年11月に和解に至った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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