BadFruitという新しい会社が、iTunesで新たにポッドキャストをサポートするというApple Computerの計画を先取りし、独自にその機能を実現する「BadApple」というソフトウェアプラグインを投入してきた。
今のところ、BadFruitサイトを運営するプログラマーたちは素性を明かしていないが、複数の手掛かりから、ある企業の名前が浮かび上がっている。地下で活動するハッカープロジェクトと異なり、同ソフトウェアには洗練されたプライバシーポリシーと利用規約が付いていることから、将来大規模な計画に発展する可能性も取り沙汰されている。
BadAppleを組み込んだiTunesでは、数百のポッドキャストへシームレスにアクセスできるようになり、ダウンロード機能はiTunesミュージックストアとほぼ同様の動きをする。
必要最低限の情報しかない同サイトには、「BadAppleはBeatlesが出したものではない。また、Apple Computerの出したものでもない。このプラグインに対して、Appleからは支持も承認も得ていない。実際のところ、Appleは絶対にBadAppleを使わせたくないはずだ」との記述がある。
ポッドキャストとは、自動的にダウンロードされ、iPodのようなデジタル音楽プレイヤーに転送されるMP3ファイルを記録/配信するための手法で、ほんの数カ月の間に、マニアのツールだったものが、世界有数のメディア企業に採用される技術へと進化を遂げた。
ポッドキャストは、現在の形が確立されてからまだ1年も経っておらず、当初はハイテク業界の風変わりでとりとめもない録音ファイルが中心だった。しかし、そこから幅広く利用される配信フォーマットへと急速に進化し、Clear ChannelやBusinessWeekなどの主要メディア企業がこれに飛びついた。
AppleのCEO、Steve Jobsは今月に入って、iTunesの次期バージョンでポッドキャストの作成と配信をサポートすると発表した。同氏は、2週間前に開催された開発者会議でこの機能のデモを行った。そして、このサービスによって、ユーザー側では各ポッドキャスティングへの登録が可能になり、配信側では制作した番組への課金が可能になると説明していた。
Jobsは同イベントに集まったMacintoshソフトウェアの開発者に向かい、「われわれは、これがラジオの世界で最もホットなものだと考えている。ラジオ関連でこれ以上のものはない」と述べていた。
現時点では、BadFruitの素性を示す証拠は見当たらない。しかし、いつくかの手がかりをたどっていくと、「MP3Tunes.com」というサイトに突き当たるようだ。このオンライン音楽配信サイトは、数カ月前に「MP3.com」創業者のMichael Robertsonが立ち上げたものだ。
BadAppleのログファイルからは、このソフトウェアがMP3Tunesの管理するサーバと通信していることがわかる。また、このソフトウェア内部のコードをみると、そこにもMP3Tunesへのリンクが見つかる。
さらに、BadFruitのプライバシーポリシーは、MP3Tunes.comのものとほぼ一緒で、社名やサービス名といった箇所が変更されているだけだ。BadFruitの利用条件には、同ソフトウェアに関する訴訟はすべて、Robertsonの会社が本拠地とする(カリフォルニア州)サンディエゴ郡で起こすように書かれている。
この件に関して、Appleの広報担当者にコメントを求めた、すぐには返事を得られなかった。
また、MP3Tunesの社員によると、Robertsonは米国内におらず、コメントは得られなかったという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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