スパイウェア対策ソフトウェアを開発するメーカーが集まり、再度、スパイウェアとは何かを定義することになった。今回は、消費者団体もこの取り組みを支援する。
新たに結成された団体の仮名称は、Anti-Spyware Coalition。同グループの関係者がCNET News.comに明らかにしたところによると、同団体は2005年の夏の終わり頃までに、スパイウェアの定義やデスクトップソフトウェア開発のベストプラクティス、共通用語集などのガイドラインを提案する計画だという。
スパイウェアとアドウェアに関する議論は数年前から続いている。アドウェアやスパイウェアを開発する企業は、これらのアプリケーションが正当なマーケティングツールであると主張する。アドウェアやスパイウェアという言葉の定義は難しい。PCユーザーの情報を盗み出すソフトウェアにも、フリーソフトウェアにバンドル提供される広告ツールにも、これらの言葉が多く使われている。
「これらのアプリケーションに適用されるルールを明確にすることは、消費者にとっても有益なことである。また、ソフトウェアメーカーは(正当なアプリケーションとそうでないものの)境界線を知ることができるため、自社製品の立場を明確にすることができる」とCanadian Internet Policy and Public Interest Clinic(CIPPIC)の顧問スタッフDavid Fewerは述べる。同団体は、カナダ・オンタリオ州オタワに本拠地を構える消費者保護団体で、今回結成されたAnti-Spyware Coalitionとも連携していく。
スパイウェアとアドウェアはともに、PCの動作速度に影響を与える。これらのソフトウェアは、ユーザーの気付かないうちにPCにインストールされることが多い。スパイウェアやアドウェアが収集したユーザー情報は、広告に利用されたり、別に業者に販売されたりする。スパイウェアやアドウェアを駆除するツールの市場は急成長している。
Anti-Spyware Coalitionの取り組みが成功すれば、スパイウェアとアドウェアにまつわる混乱は一掃され、消費者は自分のPCを保護し、円滑な動作環境を保てるようになるだろう。また、正当な活動を行っている広告事業者やソフトウェアメーカーやは自社製品を改善することができる。
アドウェアにまつわる合法な活動と、そうでない活動を例示することはさほど難しくない。だが、それぞれの活動の明確な線引きを行うことは難しい。「(この取り組みを通して)問題の本質を理解できることの意義は大きい。受け入れるソフトウェアと、排除するソフトウェアの区別について、業界全体で考え方を共有できる」とFewerは述べる。
標準的な定義が必要である根拠を示す事例は既に多く存在する。Computer Associatesは2005年初めの一時期、アドウェアプログラムGatorをPestPatrolの検出対象外とした。だがその後、CAは再度Gatorを検出対象とし、スパイウェアメーカー各社からの抗議への対応方法を変えている。
Center for Democracy and Technology(CDT)のアソシエイトディレクターAri Schwartzによると、Anti-Spyware Coalitionが提案する予定のガイドラインはドラフト版が既に完成しており、今年の夏終わり頃までに公表する予定だという。また公開後は、一般からのコメントを募集すると同氏は述べる。
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