Apple Computerがオープンソースの取り組みを拡大し、同社に苦情を述べていたボランティアのブラウザ開発者らを喜ばせている。
Appleは2年ほど前に、自社のブラウザ「Safari」の基盤としてオープンソースのKHTMLブラウザエンジンを選択したが、数カ月前から、KHTMLの開発者らの間では、Appleの同プロジェクトに対する貢献度の低さについて不満の声が上がっていた。
これに対し、Appleは米国時間6日に「WebKit Open Source Project」を立ち上げた。 オープンソース関連の活動を刷新中の同社は、これでボランティアたちをなだめることに成功したかもしれない。
AppleのSafariプロジェクト担当エンジニア、David Hyattは7日、「Safariチームは、自分たちの仕事のやり方を大幅に改めること、そしてこれらの変更は即刻開始されることを発表する」と自らのブログに記している。「われわれは今後、開発者コミュニティと積極的に関わっていく。IRCやメーリングリストにも頻繁に顔を出す。ぜひみなさんにも参加していただきたい」(Hyatt)
Appleは、新たに設けたWebKit Open Source Projectのサイトで、Safariの開発における透明性の欠如など、KHTMLの開発者から寄せられた複数の苦情に対処している。同社は、CVS(Concurrent Versions System)レポジトリを設け、そこでSafariの「WebCore」ブラウジングフレームワークと「JavaScriptCore」スクリプトフレームワークの履歴データを公開し、過去に公開が見送られたコードをボランティア開発者らが調べられるようにした。
Appleはさらに、「WebKit」というWebCore APIもオープンソース開発用に公開した。Hyattは、Appleが公の場でバグトラッキングを行っていくことを明らかにし、また公開メーリングリスト(webkit-dev@opendarwin.org)と公開IRC(Internet Relay Chat)チャネル(irc.freenode.net内の#webkit)を立ち上げたことを発表した。
Appleは2年ほど前、知名度で勝っていたオープンソースのブラウザ「Mozilla」ではなく、KHTMLをSafariの基盤として選択したが、この時KDEの開発者らは、Appleの関与と投資が同プロジェクトを活性化するだろうと、大きな期待を寄せていた。
KHTMLはもともと、LinuxやUnix用に開発されたインタフェース「KDE( K Desktop Environment)」上で動く「Konqueror」ブラウザ向けに開発されたものだ。
しかし、その後2年半の間に、Appleのプログラマがどちらかというと不明瞭なやり方で開発作業を進めたことから、KDE側ではAppleが行った変更(箇所)を実装することが困難になったり、あるいはそうしたがらないという事態が生じた。その結果、KHTMLとWebCoreの活動は乖離--あるいはプログラミング用語で言うところの「フォーク」するようになっていった。
KDEの開発者らは7日、Appleのオープンソースに関する改革を高く評価し、オリジナル版とApple版が再び近づくことへの期待を表明した。
KDEの開発者で同プロジェクトの広報担当を努めるソフトウェアコンサルタント、George Staikosは、「これは素晴らしいことだ。さらに多くのコードを公開し、コミュニティとの連携を深めていくAppleを称えたい。これは非常に発展的な措置だと思うし、これによって双方が協力しやすくなり、コードベースが再び近づくことに期待している」とコメントしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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