ノートPCの使用は、ほかにも身体的な苦痛をもたらす。マシンが発散する熱で火傷を負うことがあるのだ。熱の問題はまた、膝の上でノートPCを長時間使用すると、男性の生殖能力に影響を与えるとも言われている。さらに、頻繁にノートPCを持ち歩くユーザーなら、持ち運びが原因で背中や手や肩を痛める可能性がある。
Viswanadhaの場合、まず、症状は首のこりとして表れた。医師は、Viswanadhaがラップトップの前で長時間過ごしたことにより、首の筋肉が収縮して背骨に負担がかかり、手へとつながる神経が圧迫されたと説明している。Viswanadhaは、次第に手のしびれや痛みを自覚するようになり、最終的に反復運動過多損傷と診断された。これは、同じ動作を繰り返したり、不適切な姿勢をとり続けることで起こる疾病の一種である。
だが悪い出来事は、Viswanadhaの身体にのみ降りかかったのではなかった。
「数カ月の間、いったいどうすればよいのかわからなかった。わたしの家庭で、収入を得ているのはわたしだけだったのだ。軽い鬱状態になってしまった」(Viswanadha)
Viswanadhaは今では職場に復帰し、疾病との付き合い方を学びつつあるが、事前に警告を受けていればと、ほぞをかむこともあるという。
ほんの少しの予防努力
ノートPCの使用に起因する障害の大半は予防することが可能だ。首や肩の損傷を避けるには、ドッキングステーションや外付けキーボードおよびマウスを利用するのが最も簡単だろう。これらの周辺機器を用いると、モニターを目の高さに来るよう調整して、腕や肩を自然な位置で動かせるようになる。マシンを下から支え、好みの高さまで持ち上げるスタンドを販売している企業もある。
Human Factors and Ergonomics SocietyのTom Albinによれば、モニタの理想的な位置は、目を正面に向けたところから20度下がった場所か、あるいは、20インチ(約50cm)離れた場所から見て目の高さから8インチ(約20cm)低い場所であるという。
火傷や熱に関係する問題に対処するには、専用パッドやトレーを使用するとよい。中にはファンの付いているものもある。
もっとも、こうしたかさばるアイテムは持ち運びには適さない。Hedgeは、ノートPCを肩から下げたり鞄に入れて持ち運んだりすれば、これらのアイテムを利用することで得られるメリットは相殺されてしまうだろうと危惧している。
生活習慣を見直し、仕事中の姿勢に気を付けることも、PCの使い過ぎに起因するさまざまな症状を回避するうえで欠かせない。20〜30分おきに休憩をとってストレッチしたり、食事に気を付けたり、まめに体を動かしたりするなどの心がけ次第で、状況を大きく改善することができる。また、持ち運びが可能なノートPCを利用する人は、仕事を切り上げるタイミングをつかむことも重要だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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