NECと情報通信研究機構(NICT)、パワードコムは5月31日、商用光ファイバ網による量子暗号技術の実験により、16.3km離れた地点間で平均13kbpsの最終鍵生成速度を記録したと発表した。NECによると「この生成速度は世界最高だ」という。
実験では、科学技術振興機構(JST)とNECが共同開発した低雑音光子検出器と、交互シフト位相変調方式をベースとする量子暗号システムを用いた。システムは一般のオフィスに設置し、通信には商用光ファイバ網を使っており、実使用環境下で検証した点が特徴的である。
単一光子伝送と同時に、生成した生鍵から不確定な鍵の選別、誤り訂正処理、疑わしい鍵の破棄といった一連の処理を行い、最終鍵の連続生成を「24時間連続で世界最長となる14日間」(NEC)に渡って実行した。平均量子誤り率は7.5%、平均最終鍵生成レートは13kbpsだった。
NECは「種々の実用的データから(量子暗号による)通信が可能であると実証できた。次世代の絶対的安全性を有する高秘匿通信の実現に大きく貢献する」とした。今後NECとNICTは、量子暗号システムの早期実用化に向けて研究開発を進める。
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