中国との関係に苦慮する米国のIT業界 - (page 2)

Ed Frauenheim(CNET News.com)2005年05月31日 10時31分

 米のIT業界には、中国に対して貿易以外の点でも懸念も抱いている。いまだに衰えを見せないソフトウェアの違法コピー問題もその1つ。市場調査会社のIDCと業界団体のBusiness Software Alliance(BSA)が共同で実施した調査によると、中国での違法コピーの損害額は2004年に総計36億ドルに達し、米国に次いで世界第2位の規模になったという。

 また、市場開放問題についても考える必要がある。なかでも、一部の企業は中国が政府機関のソフトウェア購入について規制を定めようとしていることに特に不安を感じている。「この規制が成立した場合、外国企業が中国政府からの受注を目指して競争することが、ほとんど不可能になるからだ」と、U.S.-China Business Councilという業界団体の代表者は5月に入って議会で証言している。同団体のメンバーにはMicrosoftやIBM、Hewlett-Packard(HP)などが名を連ねている。

 独自の技術標準を開発しようとする中国の取り組みも、米国企業にとっては不安の種になっている。中・韓・日の3カ国は、Microsoftに挑戦すべく、Windowsの代替となるオープンソースソフトウェアの開発を共同で進めている。また2004年には、中国が独自に開発したWireless Authentication and Privacy Infrastructure(WAPI)という無線通信標準を、国内で販売される製品に含めることをメーカー各社に義務付けようとしたこともあった。ただし、中国は後にこの義務付けを無期限にわたって延期することに合意した。

 GartnerのReynoldsは、中国側にも問題があるとしたうえで、米国政府がこの問題に関与することに警戒感を強めている。同氏は、米国の企業各社が、中国の供給業者にして、児童の雇用禁止などのような自社の行動規範を順守させるほうが、中国に改革をもたらす上で期待が持てるという。一部のIT企業ではすでにこのアプローチをとっており、中国企業に対してグローバルスタンダードに移行するよう勧めていると、同氏は述べている。

 だが、こうした自主規制に期待するのは、あまりに生ぬるいやり方だと、一部の業界リーダーたちは考えている。たとえば、U.S.-China Business Councilは、中国で現在審議されているソフトウェア購入規制について、積極的に介入するようBush政権に働きかけている。

 Information Technology Association of America(ITAA)という業界団体の会長であるHarris Millerもまた、米国政府が中国に対してもっと圧力をかけるべきだと考えている。同氏は特に不安な材料として、違法コピー問題とこのソフトウェア購入規制問題を挙げ、中国側に改革を求めるための、米政府の舞台裏での取り組みは、これまでのところ成果が表れていないと主張している。

 同氏は米政府による繊維の輸入制限や、先のSnow発言を高く評価している。「米国にはさらに圧力をかける必要がある」(Miller)

 同時にMillerは、中国政府に対して強く圧力をかけ過ぎぬよう注意を促している。「誰も貿易戦争など望んでいない」(Miller)

 これに対し、AFL-CIO(American Federation of Labor-Congress of Industrial Organization:全米労働総同盟産業別組合会議)のチーフエコノミストThea Leeは違った見方をしている。「戦争はすでに始まっている--『われわれが負けている』というニュースの見出しが踊っているのだ」(Lee)

 Leeによると、中国は知的財産権の侵害、為替レートの操作、労働者の権利侵害の各点で罪を犯しているという。「われわれの仕事がたくさん中国に逃げていくのは、彼らがルールに従っていないためだ」(Lee)

 駐米中国大使館関係者に、この件に関するコメントを求めたが、回答は得られなかった。

 Economic Policy Instituteが1月に発表した報告では、1989年から2003年にかけて米国の対中貿易赤字は20倍に膨れあがり、150万人分の仕事が喪失したという。このなかには、コンピュータ/オフィス機器関連の5万3350人、ならびに半導体製造業の4万6200人分の雇用が含まれている。

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