カナダの控訴裁が、何千もの音楽ファイルを違法交換した疑いのある29人の身元特定を求めるレコード業界の訴えを退けた。
カナダの連邦控訴裁判所は現地時間18日、プライバシーの権利がレコード会社の著作権要求に優先するとした下級裁判所の判決を、少なくとも「今回の訴訟の初期段階」において支持した。
同裁判所は27ページの意見書の中で、技術が知的財産権を破壊することは許されないが、「現時点では個々人の生活を不当に侵害する可能性が圧倒的に大きい」と強調した。
今回の判決は、この問題を終わりにするものではなく、むしろカナダレコード協会(CRIA)がPtoP著作権侵害者を相手とする今後の訴訟で、どのような法的基準を満たせばよいのかを事実上示したものとなっている。
オタワ大学法学部教授のMichael Geistは、ある分析レポートの中で「米国での経験を踏まえると、カナダでは今後数カ月以内に個人に対する訴訟が数千件起こると予想できる」と述べている。「カナダ人も同様の訴訟の対象となると考えられるあらゆる理由がある」(Geist)
CRIAは2004年に、インターネットプロバイダー5社(Bell/Sympatico、Rogers Communications、Shaw Communications、TELUS、Videotron)に対し、違法なファイル交換を行った疑いのある加入者の身元特定を求めたが、下級裁判所はこの要求を却下した。CRIAは上訴し、今年4月に意見陳述が行われた。
19日の判決の中で、Edgar Sexton判事は、下級裁判所が音楽ファイル交換の合法性に関する大胆な結論を出したことについて、穏やかにたしなめた。「私の考えでは、この訴訟の非常に早い段階で、そのような結論を出すべきではなかったと思う」と同判事。「初期段階におけるこのような厳しい結論は、訴訟が起こされた場合に当事者に不利益をもたらす可能性があり、避けられるべきだ」(Sexton)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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