データベース大手のOracleが、Mozilla Foundationとひそかにジョイントベンチャーを進めていることから、Oracleがオープンソース製品のリリースを計画しているのではないかとの推測が浮上している。
Mozilla Foundationは、今年2月に行われた「Free and Open Source Developers' European Meeting」(FOSDEM)で、OracleがMozilla Lightningプロジェクトに従事するスタッフ3人を雇用したと述べていた。Mozilla Lightningは、Mozillaのスケジュール管理アプリケーション「Sunbird」とメールアプリケーション「Thunderbird」を統合させるプロジェクトで、Microsoft Outlookの市場支配を打ち砕くカギとなると考えられている。
ZDNet UKでは、ここ2カ月間Oracleに繰り返しインタビューを求めたが、Lightningプロジェクトに関する同社の取り組みについて聞くことはできなかった。Mozilla Foundationはこの件に関する質問をOracleに尋ねるよう指示している。
OracleがMozillaとの取り組みをあまり明らかにしたがらないため、業界観測筋の間では、OracleがNovellに続いて、オープンソースのコラボレーション製品をリリースする計画ではないかとの推測が広まっている。
MozillaのスタッフであるGervase Markhamは、FOSDEMで、OracleがLightningプロジェクトでMozillaと協力する主な動機は、おそらくMicrosoft Outlookの競合製品を作ること--そして最終的にはExchangeから市場シェアを奪うこと--にあるだろう、との推測を述べていた。
「(Oracle CEOの)Larry Ellisonは、わずかな投資と時間でBill Gatesを不安にさせられると感じている。Exchangeの市場独占は、Outlookの市場独占をベースとしている。人々はExchangeに多額の代金を支払っている。われわれがOutlookに代わる製品を提供できれば、Microsoftは不安を感じることになるだろう」(Markham)
RedMonkアナリストのJames Governorもこれに同意し、OracleにとってMozillaとの協力は、コラボレーションソフトウェア市場における長期的な成功につながるだろうと述べている。
「Oracleは少なくとも5年前から、コラボレーション市場に力を入れようとしてきた。同社は、企業のコントロールポイントであるコラボレーションおよび通信分野で成功したいと考えている。Microsoftの成功のうち、どれほどがOutlookを基盤としたものであるか考えてみよ。Oracleは、(プロプライエタリ製品ではなく)オープンソース製品のほうがより大きな成功を収められると感じている」(Governor)
市場調査会社のForrester Researchは昨年Oracleに、オープンソースを使ってコラボレーションソフト市場に参入することを勧めていた。「Oracle's Path to Collaboration Success(オラクル、コラボレーション分野での成功への道)」と題されたこのレポートのなかで、 Forresterは、Oracleが「Oracle Collaboration Suite (OCS)」という自社コラボレーションアプリケーションのオープンソースバージョンを出すべきであり、そうすればこの市場に参入できるとしていた。
「コラボレーションプラットフォーム市場では、Oracleが価格と機能で競争しても、MicrosoftやIBMを決して抜けないだろう。OCSを本当に競争力のあるものにするには、Oracleはいくらかのリスクをとって、この市場全体のダイナミズムを変えなくてはならない」(同レポート)
「この市場に揺さぶりをかけるには、OracleはOCSをオープンソースコミュニティに公開することを考えるべきだ。いまのところ、オープンソースのスタックには、エンタープライズ・メッセージング/コラボレーション製品に関して大きな穴がある」(同レポート)
Forresterはこの動きが賭になり得ると注意を促している。「しかし、そのリスクも大きい。OracleはOCSの売上と一部の知的財産を犠牲にする可能性もある」と同レポートには書かれている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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