KDEによると、Appleに対しては以前から不満の声が上がっていたという。同グループは、この緊張関係の原因の一部として、企業とボランティア開発者の優先事項が本質的に対立することを挙げている。
KDEの開発者で、同グループの広報担当を務めるソフトウェアコンサルタントのGeorge Staikosは、「オープンソース側が制約を受けないことを誇りとしている事柄から、企業は制約を受けている。Appleは、KDEのKHTML開発モデルとうまく相容れない問題を社内に抱えており、その意味では以前から問題があったといえ、それがKHTMLとSafariの急速な分裂へとつながった。そして、時間が経つのに従い、この問題は複雑化してしまった」と語っている。
この分裂の結果、Safariに加えた改良箇所をKHTMLに還元することが難しくなり、オリジナル版のほうは、企業が支援する派生コードより不利な立場に置かれることになった。
この問題は、SafariがAcid2標準準拠テストに合格できることをAppleがアピールした数週間前に顕著になった。KDE開発者のZack Rusinは、KHTMLがこのテストに合格できるような改善はいつになるのか、との質問を突きつけられた。それに対し、同氏は「おそらく一生ないだろう」と答えていた。
一部の開発者によると、SafariとKHTMLの分裂がAppleとKDEの事実上の関係解消につながったという。
Rusinは、AppleのHyattに宛てた公開書簡のなかで、「ある時期、われわれがKHTMLに託したオープンソースの理想と、(Appleの)商用製品に託されたそれは、別々の方向に分かれてしまった。現時点では、KHTMLの2種類のバージョンを開発する完全に別々のグループが存在している。われわれがそちらのKHTMLの開発に口を出すことは絶対にできないだろうし、そちらがわれわれのKHTML開発に参加することも絶対にない」と述べている。
Appleは2年前、KHTMLに新風を吹き込んだと思われた。同社がKHTMLを選んだことは、小型で高速なブラウザエンジンを開発するKDEの正当性を立証するもので、Firefoxをまだ出しておらず、コードの深刻な巨大化に悩まされていたライバルのMozillaに対する勝利だと思われた。
KDEのエンジニアHarri Portenは2003年1月、AppleによるKHTML採用の発表を受け、「これは、KDEのプロジェクトメンバー全員の懸命の努力に対する素晴らしい賛辞だ。Appleのような主力ハードウェア/ソフトウェアベンダーに選択される、価値のあるソフトウェアを開発するのに、フリーソフトウェアの概念が申し分のないものであることが証明された」と述べていた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのBioSHADOWが誘う
心地良い室内空間のつくりかた
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス