ウイルス対策の専門家らが、トヨタのプリウスを使ってテストを行なった結果、携帯電話ウイルスがクルマに感染することはありえないとの結論に達した。
車載コンピュータがBluetoothを通じて携帯電話ウイルスに感染する可能性があるとの噂について、F-Secureの技術者らは、プリウスに搭載されたコンピュータがCabirワームに感染しなかったことから、その噂が誤りであるとの結論を下したという。CabirはBluetooth経由で拡大しているワームで、Symbianオペレーティングシステムを搭載した携帯電話への被害が広がっている。
ロシアのウイルス対策会社、Kaspersky Labsは今年1月、車載コンピュータからウイルスを除去する方法についてある人物から問い合わせがあったと発表した。今回のテストは、この発表をきっかけとして実施されたものだ。
F-Secureの「Jarno」と名乗る技術者は9日、同社のブログで、「Priusが(Cabirに)感染しなかったのは特に驚くべきことではないが、このクルマはテストの中で予想を超える性能を発揮した」と述べ、さらに「われわれが何をしても、このクルマはBluetooth経由のトラフィックに全く反応しなかった。Cabirはこのクルマへの感染を試みたが、まったく成功しなかった」と付け加えている。
実験に使われたプリウスには、トヨタのレクサスと同じ種類のコンピュータが搭載されている。レクサスは、車載コンピュータへのウイルス感染の噂が最初に流れた際に、名前が挙がっていたクルマで、携帯電話の電話帳を車載電話に転送できるようにBluetoothをサポートしている。テストを実施した技術者らは、プリウスを海面よりも42メートル低い位置に置き、Cabirに感染した電話を使って車載コンピュータに同ワームを感染させようとした。
この実験の間に、ダッシュボードの警告灯が突然点灯し、その他の機能が全て停止するという出来事があった。驚いたF-Secureの技術者が、車載コンピュータのディスプレイをみると、そこには「転送ロックメカニズムが異常を来たしています。クルマを平地に止め、完全にハンドブレーキをかけてください」というメッセージが表示された。
F-Secureのブログには次のような書き込みがなされている。「このクルマの大量リコールが必要になるのではないかとの考えが、われわれの脳裏をよぎり始めた・・・そこで、われわれは改めて実験をやり直し、全てを二重にチェックした。全てのBluetooth機器のスイッチを切り、しばらく待つという標準的な除去プロセスを実行したところ、この問題が繰り返し発生した」
技術者らは3度試みたが、全て同じ結果になり、その後バッテリーが不足していることに気がついた。
「プリウスのコンピュータは、そのせいでメチャクチャな状態になっていた。そして、この問題がBluetoothとは一切関係ないものであることが判明した。だが、それがわかるまでは本当に重苦しい時間が続いた。われわれは、有り得ないことが実際に起こってしまったと考えそうになった」(同ブログ)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス