Intelが、ムーアの法則が初めて発表された雑誌に1万ドルを用意すると発表した翌日、イリノイ大学工学部の図書館では、2冊保有していたこの雑誌の片方が紛失してしまった。
同大学のGrainger Engineering Libraryで働く司書補Mary Schlembachによると、「Electronics Magazine」の1965年4月19日号を含む雑誌のバインダーが、何年も前から置かれていた棚から突然消えてしまったという。Schlembachは、1人の学生が同じ日に携帯電話でその雑誌について話しているのを耳にしたという別の司書の証言も明らかにした。通常、この雑誌はあまり読まれることがない。
「いつなくなったのか分からない。突然だった。ほかの図書館でもこうしたことが続くだろう」(Schlembach)
スタンフォード大学やワシントン大学などの司書らは、Intelがこの雑誌に1万ドルを支払う用意があるとeBayで告知したことに憤りを感じているという。この告知は4月11日にeBayに出されたが、それ以来ほかにも購入希望者が現れている。
Intelは、図書館の蔵書は図書館からしか購入しないと明言しているが、それでも問題は収まらない。スタンフォード大学工学部図書館の参考文献係長Karen Greigによると、同校ではその雑誌を棚から引き上げたという。
Intelは雑誌探しを終了へ
現在、イリノイ大学の2冊目の蔵書は厳重に保管されており、また同校にはそれを売却する意志はないという。
「原本は歴史の記録および保管目的で保存したいと考えている」とSchlembachは述べ、さらに「とんでもないことをしてくれたものだ」と付け加えた。
この雑誌の1965年4月19日号には、ICの集積度は毎年倍増する、というIntel共同創業者Gordon Mooreの著した論文が掲載されている。その後、数十年間にわたり、IT業界の土台となるMooreの有名な法則は、この記事が元になって生まれたものだ。
Intelは、この雑誌を所有する複数の個人および法人とすでに接触しており、eBayの告知は米国時間14日夜に締め切る、と同社の広報担当は語っている。
同社の広報担当Manny Varaは、「取引候補者は十分集まったと思う。われわれが接触中の個人は、雑誌を集めている古くからのエンジニアばかりだ。また、蔵書の売却を検討中の図書館とも接触している」と語った。
Varaによると、購入候補になる可能性が最も高いのは米国外から取り寄せたものだという。
しかし、「もちろん、各地の図書館で問題を起こすつもりはなかった。ネットの書き込みでもその点を明示した。実際に、図書館や博物館の蔵書は所有する組織以外からは購入しない、と書いている」(Vara)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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