A・ハーツフェルドが語る「Macの誕生と、その他の物語」(後編)

Scott Ard(CNET News.com)2005年04月08日 10時00分
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(CNET Japan編集部より--以下のインタビューは1月のMacworld Conference and Expoの開幕直前に行われたものです)

--オープンソースに関して、Appleはユニークな立場を選びました--オープンソースの利点を取り入れるために、自社のプロプライエタリOSの基盤にFreeBSDを採用したのです。AppleはLinuxを選ぶべきだったと思いますか。そうしていたら、状況は違っていたでしょうか。

 今からでもLinuxを選ぶことはできると思います。決定的だったのは、1986年にNeXTがUnixを採用したことです。つまり、Mac OSはすでにUnixをベースにしているのです。コモディティ化し、価値を加える余地がなくなった部分を、オープンソースとして公開するのは正しい--Darwinなどがこれにあたります。

 (しかし)まだ十分ではありません。Appleは基本的には閉鎖的なプラットフォームです。自社にとって重要でない部分をオープン化したにすぎません。しかし、私はAppleがもっともっと貢献するところを見てみたい。それはAppleのビジネスにも多大な利益をもたらすはずです。この件についても、私はSteve Jobsと話をしましたが、彼はそう思っていないようでした。一年ほど前、私は彼に「すごいチャンスだ。状況は変わりつつある」といいました。しかし、彼の答えはこうでした。「変わってなんかいない。少なくともあと10年は、Windowsの支配が続くんだ」。一生そうだというのか、と問い返すと、「君の寿命による」といわれました。

--AppleがFreeBSDからLinuxに乗り換えたら、何が変わると思いますか。

 技術面での変化はほとんどないでしょう。ビジネス面では・・・Macのシステムに採用されるフリーソフトウェアが増えるほど、IBMなどの企業や、その他のオープンソースシステムと提携する機会が増えると思います。Microsoft支配という悪夢を生き延びたIBMは、Steve Jobsが第2のBill Gatesとなることを何としても避けようとするはずです。さまざまなレベルでシステムを根本的にオープンにすれば--選択肢を提供し、コントロールを放棄すれば--競合企業を協働させることができます。それが可能であることを、われわれはEazel時代に学びました。Eazelはオープンソースの分野で、SunやHPと大規模な提携を行いました。たとえライバル同士でも、どちらにも所有権がなければ、同じソフトウェアに共に取り組むことができるのです。

--それは寡頭政治につながるのではありませんか。SunとHPが結託して、「共通のオープンなプラットフォームを使おう。資金と人材をわれわれが握れば、中小企業が台頭する余地はない」というかもしれません。

 そうはなりません。なぜなら、これは革新を受容するシステムだからです。私があるすばらしいアイディアを持っていたとしましょう。ユーザーが飛びつくような、世界を変えるようなアイディアです。しかし、閉鎖的なプラットフォームでは・・・私は締め出されます。ソースコードの所有権がないので、コードに手を加えることができないからです。しかし、オープンなプラットフォームでは誰もが歓迎され、したいことをすることができる。もちろん、利益が出るかどうかは別の問題です--それは複雑で、細かい部分が重要になりますからね。でも、この方がはるかに健全な環境を構築できると思います。

--今後、知的財産はどうなるのでしょうか。

 知的財産は今後10年、20年の大きなテーマになるでしょう。これはプログラムのコードだけでなく、音楽やビデオといったエンターテインメント製品についてもいえることです。しかし、過去のすべての技術的変化がそうだったように、いずれは落ち着くところに落ち着くでしょう。たとえファイル共有が10年続こうと、レコード会社は満足するはずです。それは自分たちの音楽が聴かれ続けるということですからね。ただし、レコード会社の定義は見直されなければなりません。

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