A・ハーツフェルドが語る「Macの誕生と、その他の物語」(前編)

Scott Ard(CNET News.com)2005年04月06日 10時00分

(CNET Japan編集部より--以下のインタビューは1月のMacworld Conference and Expoの開幕直前に行われたものです)

 Macworld Conference and Expoが開幕すれば、Steve Jobsに注目が集まることは間違いない。しかし、初代Macの開発に携わったもうひとりの人物の話にも、Macファンなら興味を持つのではないだろうか。

 今年のMacworldの会場では、Andy Hertzfeldが著書「Revolution in the Valley: The Insanely Great Story of How the Mac was Made」にサインをする姿を見ることができるだろう。しかし、この本の題名はあまり適切とはいえない--これは1編の物語というより、Macの誕生にまつわる秘話を集めた短編集であるからだ。

 Hertzfeldはカリフォルニア大学バークレー校の大学院生だった1978年に、Apple IIを1300ドルで手に入れた。Apple IIをいじっているうちに、Hertzfeldは世界初のパーソナルコンピュータのひとつを生み出した仕事に強い興味と感謝の念を抱くようになり、大学を中退すると、Apple Computerに入社した。1979年の夏のことだった。そして、約18ヶ月後には、HertzfeldはMacを生み出した一握りの人々のひとりとなっていた。

 1981年から1984年にかけて、Hertzfeldは伝説的なMac開発者たちと共に仕事をした。ソフトウェアの天才と呼ばれたBill Atkinson、ハードウェアの第一人者だったBurrell Smith、そしてもちろん、Steve WozniakとSteve Jobsの2人とも。誰もが気軽に使えるグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を備えた、パワフルだが手の届く価格のコンピュータを作り、世界を変えるのだ--Steve JobsはMacチームにそう言い続けた。

 初代Macが発売されると、当初の開発メンバーの大半はAppleを去った。Hertzfeldも例外ではない。HertzfeldはMacの有名なコマーシャル「1984」がスーパーボウルで流れた2カ月後にAppleを退社した。その後、彼は仲間と共に3つの企業--Radius、General Magic、そしてEazelを立ち上げたが、彼が語るMac誕生のエピソードは、友人や同僚たちを魅了し続けた。彼はこれらのエピソードの多くを非公開のウェブサイトに掲載し、当時の仲間に事実関係の確認を依頼し、新しいエピソードを寄せてほしいと頼んだ。後にこのサイトは公開され、ついには当時の様子を伝える数々の写真と共に、1冊の本にまとめられた。

CNET News.comはHertzfeldにインタビューを行い、当時の出来事、本を書いた理由、以前の同僚の反応などについて話を聞いた。Hertzfeldは過日の記録に彼を駆り立てたのと同じ熱心さで、当時の出来事はもちろん、オープンソースの台頭、Microsoftによる革新の「封じ込め」、ファイル共有に対する音楽業界の無益な戦い、iPodのオープン化を拒むAppleといった最近の話題についても、自らの持論を展開した。

 Hertzfeldによれば、Macが登場する前後のAppleに関する本を出す可能性もあるという。Hertzfeldは当時のエピソードのなかから、Jobs、Wozniak、障害者用駐車スペース、そしてクパチーノ警察が登場する小話を教えてくれた。

--どういう経緯でAppleに入社することになったのですか。

 Apple IIを買ったら、夢中になってしまったのです。生活のすべてを持っていかれました・・・まずは空き時間を、次はそれ以外の時間もです。Apple IIにのめり込むあまり、Appleで働かずにはいられなくなったのです。

--Macチームに配属されたいきさつは。

 Macのハードウェアを設計していたBurrell Smithと親しくなり、あれこれ手伝うようになったのが最初です。そしてあの日--24年も前のことなのに、日付まで覚えていますが、1981年2月25日、私の所属していたApple II部門で大規模なリストラがありました。同日にすべての管理職が解雇されたのです。私のプロジェクトのパートナーも解雇されたので、私はすっかり憤慨し、辞めさせてほしいと会社に申し出ました。

 会社は私をいいヤツだと思っていたらしく、私を引き留めようとしました。「どうしたら残ってくれるのか」と聞かれたので、こう答えました。「では、Macの仕事をさせてもらえませんか」。その翌日から、私はMacの仕事をするようになりました。

--Macの開発は、社内でも大きな話題になっていたのですか。

 受け止め方はさまざまでした。私がMacチームに入った最初の年は、いろいろな噂が飛び交っていました。しかし、それは必ずしも好意的なものではなかった。MacはLisaと同様の機能を、Apple IIと同等の価格で提供しようとするものだったので、社内の主立ったチームと対立することになりました。また、Macは秘密プロジェクトだと考えられていました。

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