NCRのCEOだったMark Hurdを新しいCEOに指名したことは、Hewlett-Packard(HP)の取締役会が同社の分割を望んでいないことの現れだと、複数のアナリストが指摘している。
HurdはNCRで、ATMやデータべース、販売用アプリケーションなど、さまざまな種類のハードウェアやソフトウェア製品を販売する経験を積んだとアナリストは言う。HPの取締役会はそんなHurdを同社の新しい社長兼CEOに選んだと、事情に詳しい情報筋は述べている。
HPの取締役会は、同社を複数の事業会社に分割するのではなく、「ポートフォリオ」のアプローチを好んでいることを明確に示した。このアプローチは、さまざまな顧客に必要な製品をすべて自社で提供するというものだ。
Forrester Researchのアナリスト、Frank Gillettは、「HPの取締役会が事業売却や分割経験のある人物--たとえば、Michael Capellasは2度行っている――を選んだとすれば、HP分社化の可能性があった」と述べている。
Hurdは新たなポストで大きな課題に直面することになるが、その1つはHPのような規模の大企業を経営するということだ。HPのプリンティングおよびイメージング事業部門だけでも、昨年NCRの4倍に相当する売上を上げていた。昨年度の売上高はNCRが約60億ドルだったのに対し、HP全体では800億ドル近くあった。
「Hurdは、NCRで学んだことすべてをはるかに大きな市場に合うようスケールアップしなくてはならない」とIDCのアナリスト、Roger Kayは言う。
Hurdはまた、DellやIBMと激しく競争するなかで、数多くの変化を経験してきた企業を舵取りするという課題も引き継ぐことになる。
「これは戦略的な課題だ」とTechnology Business Researchのアナリスト、Chris Fosterは言う。「HPもCompaqもハードウェアにルーツを持つが、そんな企業をソフトウェアとサービスを売り物にする実行力のある企業に生まれ変わらせなくてはならない。PCやサーバでは先が無い。IBMのようにソフトウェアとサービスが会社を引っ張るレベルに到達しなければならない」(Foster)
実際にForresterのGillettは、HPがまだ自社の多角的なポートフォリオ戦略が有効であることを証明しておらず、これが明らかになるにはあと半年から1年かかるだろうと指摘している。
「NCRからいろいろな分野での業務経験を持つ人材を見つけてきたというのは興味深い。しかし、NCRには個人向けのビジネスがない点や、ビジネスの規模がまったく異なる点には気を付ける必要がある」とGillettは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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