IBMは、コンピュータに脊椎動物のような思考を持たせる手法を開発した。
IBMのバイオメトリカル・コンピューティングチームのCharles PeckとJames Kozloskiは、「ミニ円柱(minicolumn)」と呼ばれる大脳新皮質の小型円柱組織の働きを真似る数学的モデルを作り出したと発表した。ミニ円柱とは、ニューロン(神経細胞)からの刺激をまとめる組織の細い糸の集合を指す。この研究がさらに進めば、やがてロボットが人間のように「認識」し、センサーから得た情報を利用して適切な判断を行うことになるかもしれない。
Peckの説明によると、人間の脳はおおよそ280億の細胞で成り立っているという。このうち、2億あるミニ円柱は、簡単にいうと感知したデータを集め、それを組織して脳のより高度な部位に提供している。またミニ円柱には、内部接続を通して互いに通信を行う機能もある。ミニ円柱はおおよそ直径20分の1ミリメートルの大きさで、大脳皮質全体に広がっている。
IBMで作られた数学モデルは、4億の通信経路で接続された50万個のミニ円柱の振るまいをシミュレートする。この数学モデルを利用することで、「われわれは自己組織化の様子や、現実世界で見られるのと酷似した振るまいをを実証できた」とPeckは述べている。
同氏によると、このシステムを使うことで、通常のコンピュータではエラーが起こるようなパターン認識の問題を解決できるという。この点を実証したテストについては、まもなく発表される論文のなかで概略が示されている。
自然界にヒントを求めるコンピュータ研究者は過去2年間にますます多くなっている。PalmOneの創業者であるJeff Hawkinsは、人間の脳と同じような思考プロセスを利用するシステムを販売するために新しい会社を立ち上げようとしている。一方、Intel共同創業者のGordon Mooreは先ごろ、新たに設計し直さないかぎり、コンピュータが人間のように思考できる可能性は低いと述べていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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