さまざまな商品の価格が比較できるサイト「価格.com」を運営するカカクコムが3月10日、東証マザーズから同1部市場に指定替えとなった。同社は2003年10月に東証マザーズに新規上場したばかりで、1年半足らずの短期間で、しかも2部市場を飛び越えての1部指定替えはかなりのハイスピードといえる。今後の業績の動向と株価の推移について探った。
同社の東証1部指定の承認が発表されたのは3月3日の大引け後。翌日4日のカカクコムの株価は、一時前日比10万4000円高の106万円まで買い進まれ、8カ月ぶりに100万円の大台回復をみせた。
株価が急騰をみせたのは、マザーズという新興市場から2部市場をパスして1部市場に昇格する「飛び級」へのご祝儀買いに加え、1部上場となればTOPIX(東証株価指数)採用銘柄として、機関投資家などから運用成績を一定に保つために自動的にある程度まとまった株数の買い需要が見込めるという思惑を先取る買いが優勢となったためだ。
カカクコムは屈指のネット関連ベンチャーとはいえ、今3月期の業績見通しでは、売上高は20億円に過ぎない。ジャスダックやヘラクレスなど他のベンチャー市場から東証1部市場に直接上場する場合、時価総額500億円以上が求められるが、マザーズであればその基準は40億円となり、極端にバーが下がる。他の基準は、経常益4億円(前期実績、今後も見込める)、月間平均出来高200単位※(半年間)などだ。審査にパスする必要があるが、マザーズ銘柄には早期の東証1部上場がテーマとして浮上してきそうだ。
カカクコムが2月10日に発表した2005年3月期の第3四半期(2004年4〜12月)の決算(非連結)は、売上高14億1300万円(前年同期比59.3%増)、経常利益5億5100万円(同65.4%増)、当期利益3億2900万円(同74.1%増)と非常に好調な推移となった。
同社が運営する価格比較サイトの価格.comが順調に月間利用者数およびページビュー数を伸ばし、昨年12月度の月間利用者数は622万IPアドレス、月間総ページビュー数は3億1000万ページビューとなった。今後は昨年10月からスタートした宿泊プラン一括検索の「yoyaQ.com」など新規のコンテンツおよびサービスの提供を通して、新規ユーザーの獲得を目指し、事業基盤を確立していく方針だ。
第3四半期の決算発表時点では、2005年3月期通期(非連結)の業績見通しを従来予想の売上高20億円、経常利益8億円、当期利益4億7000万円と変更していないが、上方修正の余地も残されている。
株価は、3月3日の東証1部指定発表後、急上昇をみせた反動で、10日の指定替え以降は小幅な調整を強いられている。しかし、将来的な事業展開力に優れていることから、近い将来に再び100万円台を回復してくる可能性が非常に高い。今後は増配や株式分割の実施が焦点となってきそうだ。
※1単位:単元株制度を採用する場合には1単元の株式の数をいい、単元株制度を採用しない場合には1株をいう。
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