「フラッシュメモリカードの価格は2009年には1Mバイトあたり1セント(約1円)になるだろう」--米SanDisk創業者で社長兼CEOのエリ・ハラリ氏は将来のフラッシュメモリカード市場をこう予測する。これは2月24日に都内で開催された記者会見の場で述べたものだ。
SanDiskはフラッシュメモリカードを発明した企業で、同市場におけるトップベンダーでもある。米Gartnerの調査によれば、2003年の世界フラッシュメモリカード市場において、SanDiskのシェアは29%にのぼるという。
米SanDisk創業者で社長兼CEOのエリ・ハラリ氏 |
現在のフラッシュメモリカードの価格は1Mバイトあたりおよそ10セント。わずか4年で市場価格が10分の1になる計算だ。「今後5年間は、(製造)コストが年平均40%で減少していく。これによって、1Mバイト1セントという価格が実現できるだろう」(ハラリ氏)
フラッシュメモリ市場は韓国メーカーなどの攻勢によって、急激な価格下落が進んでいる。SanDiskとパートナー関係にある東芝は、この影響を受けて2004年度の半導体事業の営業利益を下方修正したほどだ。しかしハラリ氏は、「市場価格の下落スピードに、(製造)コストの下落スピードが追いついていれば問題はない」と余裕を見せる。
「たとえば2004年の第4四半期において、フラッシュメモリの1Mバイトあたりの単価は第3四半期に比べて34%も下落した。しかし出荷量はメガバイト換算で同110%伸び、結果として過去最高の利益を記録した」(同氏)。単価が下がることで需要が喚起され、結果として業績が伸びるというのがハラリ氏の見方だ。
SanDiskは東芝と共同で三重県四日市市にNAND型フラッシュメモリの新工場を建設し、2月22日に竣工式を終えている。 NAND型はフラッシュメモリの種類のなかでも、NOR型に比べて大容量化しやすく、一度に書き込みできるデータ量も多いという特徴がある。
この新工場は300mmウエハに対応し、90nmプロセスで製造を行う。すでにテストを行っているといい、2005年後半には量産を始める計画だ。生産能力は2005年末時点で月産1万枚という。さらに2006年前半には70nmプロセスに、2006年秋には55nmプロセスに移行する計画を持っている。フル稼働時の生産能力は月産6万2000枚。「2〜3年でフル稼働になるだろう」(ハラリ氏)
小型の記憶デバイスにはフラッシュメモリのほかにHDDもあり、大容量化を進めるフラッシュメモリと小型化を進めるHDDは市場で競合するようになってきている。たとえば携帯音楽プレイヤー市場の先頭を走るAppleのiPodはまず小型HDDを採用し、つづいてフラッシュメモリを使ったiPod shuffleを投入した。この点についてハラリ氏は、「HDDは構造上、50ドル以下の製品を出すことが難しい。フラッシュメモリが1Mバイトあたり1セントになれば、10ドルで1Gバイト、30ドルで3Gバイトの製品が出せる。これで消費者のニーズの95%は満たせるはずだ。消費者にとって一番の問題は価格だ。HDDはアーカイブなどの用途には向いているが、デジタル家電ではない」と話し、価格面でフラッシュメモリに優位性があるとした。
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