Microsoftの研究者らによると、大規模データベースの分析やスパム対策用に同社が開発したソフトウェアが、HIVワクチンの開発に役立っているという。
ボストンで開催中の「Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections(CROI)」で、Microsoft Researchのスタッフは、これまで知られていなかったHIVの遺伝子変異パターンを見つけ出す作業で、同社のデータベースやスパイ対策ソフトウェアの技術が利用されていると述べた。Microsoftの研究者らは、シアトルのワシントン大学とオーストラリアのRoyal Perth Hospitalの医師や科学者と協力しながら、新たに発見したパターンに基づいたHIVワクチンを開発する計画だ。
研究者らは自分たちの活動について、医学分野の専門家が機械学習やデータマイニングなどのソフトウェア手法を用いることによって、膨大な量のHIVサンプルを解析し、ワクチンを改善できることを実証するものだと述べている。ラボでは現在、Microsoftの提案に基づいて開発されたワクチンのテストが行われていると同社は述べる。
「今回のワクチン開発は、コンピュータ科学によって、医学やその他の分野の研究が変わってきていることを示す良い例だ」とワシントン大学の微生物学教授James Mullinsは声明の中で述べている。「コンピュータ技術は当初、医学用の研究ツールとはみなされていなかった。だが、(コンピュータ技術は)HIVなどのように生命に関わるウイルスの動きを鈍らせたり、止めたりするための研究において重要な役割を担うことになる可能性がある」(Mullins)
Microsoft Researchによると、最新のワクチンのテストはワシントン大学で行われているという。またこのワクチンのテストはRoyal Perth Hospitalでも行われる予定だ。今年後半にも、両機関でのテスト結果が公開される見通しだと、研究者らは述べる。
Microsoft Researchは今後、この技術を世界中から集めたさまざまなHIVサンプルの分析に用いる計画だ。
「データの急増により、科学をとりまく状況は急速に変化している。コンピュータがこの手の研究を支援するためにできることは非常に多く、われわれはその一部を経験したに過ぎない」とMicrosoftのResearch Machine Learning and Applied Statistics GroupのシニアリサーチャーDavid Heckermanは声明のなかで述べている。「われわれが開発した新しいアルゴリズムやソフトウェアがいつの日か、多くの人々の役に立つことを考えるとわくわくする」(Heckerman)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス