ボストン発--Linuxベンダー最大手のRed Hatは米国時間18日、先進的な一般ユーザーとの関係づくりで誤ちを犯したことを認めたが、しかし利害による動機付けが関係修復に役立つと述べた。
Red Hatは数年前に、主として法人向けのRed Hat Enterprise Linux(RHEL)に注力する選択を行った。この結果、同社はそれまで相手にしていた技術に詳しい顧客から、メインストリームの顧客を相手にするようになり、おかげで大規模市場に進出することができた。
だが、同社のMichael Tiemann(オープンソース業務担当バイスプレジデント)によると、Red Hatはこの過程で、初期に同社を支持した「アーリーアダプタ」を置き去りにすることになったという。オープンソースビジネスの先駆者であるRed Hatにとって、これは問題だった。同社の考えでは、顧客は初期段階から製品の設計/構築に直接関わるべきだというのがその理由だ。
Red Hatは現在、Fedoraプロジェクトを強化し、この状況を変えようと試みている。同プロジェクトは顧客や外部開発者を再度引き付けるために考えられたもので、同社はこの取り組みの一環として初めての「Fedora User and Developer Conference(FUDCon)」を米国時間18日にボストン大学で開催した。
「われわれは、Enterprise Linux製品を発売した際に、法人市場を重視し過ぎたために、この(アーリーアダプタという)ユーザー層をないがしろにするという過ちをしでかした。それが、最高の支持者の一部を侮辱することになったが、さらにまずかったのは、それによって顧客主導型の技術革新を行う機会を失ってしまったことだ」(Tiemann)
オープンソースのデータベースベンダー、MySQLのCEOであるMarten Mickosは、同じくボストンで開催された「LinuxWorld Conference and Expo」で、オープンソースソフトウェア企業にとって、ビジネス上の利害と開発者コミュニティの利害とを調整するのが困難になる場合があると述べ、利益を追求する分野とそうでない分野とを早いうちから明確に示すことが最善の方法だと指摘した。
「企業側の意図が明確にわからない場合、顧客はその企業を信頼しなくなる。Red Hatが良い例だ・・・Red Hatは(顧客から)少し離れすぎたことに気が付き、いまになって『Fedoraはすばらしい』といって歩み寄ろうとしている。この部分を扱えなかったために、事業が立ち行かなくなった企業がいくつももある」(Mickos)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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