ストレージ大手のEMCジャパンは2月16日、中小企業に向けたストレージ新製品4種の販売を開始した。同日から順次出荷する。データ・ストレージ専用のネットワークであるSAN(Storage Area Network)を中小企業でも導入しやすくするのが狙い。
新製品4種は以下の通り。ストレージは全3種で、価格はエントリー機種の「CLARiX AX100i」が100万円を切る80万円から。同CX300i」が250万円から。「同CX500i」が690万円から。もう1つの新製品「NetWin110 NASゲートウェイ」は、Microsoft Storage Server 2003を搭載したアプライアンスで、CLARiXなどのストレージ資源をファイル・サーバーのストレージに見せるための変換装置である。
CLARiX AX100i |
CLARiX AX100iなどストレージ新製品の位置付けは、CLARiX AX100など従来のFC(Fibre Channel)インタフェースを持つSAN構築用の低価格製品に、新たにSCSIコマンドをIPネットワーク上でやり取りするiSCSIインタフェースを持つ製品を追加したというもの。iSCSIは、TCP/IP用のネットワーク機器だけで利用でき、専用機器を揃える必要がないため、一般にFCよりも導入コストを抑えられるメリットがある。データ/音声ネットワークやシステム間通信、ストレージ・ネットワークなど個々のネットワークをIPに統一することで運用管理コストの削減も見込める。
NetWin110 NASゲートウェイは、ディスクを搭載したNAS(Network Attached Storage)とは異なり、バックエンドにあるSANのディスク資源をネットワーク・ファイル・システムとして見せるためのフロントエンド・ゲートウェイである。メリットは、SANのストレージとNASのストレージを別々に用意する必要がなくなる点である。利用可能なファイル・システムは、WindowsやSambaなどで使われるSMB(Server Message Block)とUNIX標準のNFS(Network File System)。NetWin110 NASゲートウェイとストレージの接続方法は、iSCSIまたはFC。
従来のEMCは、価格を公表しない高付加価値事業を大企業向けに展開しているイメージが強かった。最近では、昨今のコンピュータ資源のコモディティ化の流れを受け、中小企業が導入しやすい低価格製品を用意するとともに、取り扱い製品の価格を下げてきた。「2005年1月にはEMC製品の価格を平均で3割下げた」(同社コマーシャル・ビジネス事業部長代行の松本圭祐氏)。
こうした中小企業市場を狙い同社は、デルと協力してDell|EMCブランドによる販売を実施してきた。今後はDell|EMCに加え、EMC単体で販売代理店と協力し合い、低価格製品を中小企業に売っていく。2004年12月9日には伊藤忠テクノサイエンス傘下のシーティーシー・エスピーがCLARiX AX100の販売を開始しているほか、2月16日にネットワールドが今回の新製品のうちCLARiX AX100iとNetWin110 NASゲートウェイの販売を開始した。ネットワールドは初年度1000台、10億円の売上げを狙う。
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