Open Source Initiative(OSI)が、オープンソースソフトウェアの振興を支える強固な基盤を確立しようと、組織改革に取り組んでいる。OSIの共同設立者であるEric Raymondも、改革の一環として会長の職を辞した。
RaymondはOSIメンバーの中でも活発に行動し、また大きな影響力を持つ人物だった。辞任後もOSIと協力し、「親善大使」的な仕事は続けるという。OSIは、オープンソースライセンスを承認する組織。
Raymondには、「The Cathedral and the Bazaar」(邦題:「伽藍とバザール」)という著書がある。この本は、「だれでも自由に利用できるソフトウェア」という考え方を世に知らしめ、その商業的な可能性について言及した一種のマニフェストであった。
サンフランシスコを本拠とするOSIが米国時間1月31日に明らかにしたところでは、同団体はオープンソースソフトウェアプロバイダとの連携を拡大し、世界的な展望を確立するための活動に本腰を入れようとしており、その地ならしとして組織改革に着手したのだという。OSIが取り組もうとしている活動には、オープンな標準技術を策定すること、オープンソースの原則を定義すること、またオープンソースソフトウェアプロジェクトの登録制度を作ることなどが含まれる。また理事会は、米国外から数名のメンバーを新たに迎え入れる予定だ。
Raymondは声明で、「組織の設立者やリーダーにとって最も重要な責務の1つは、引き際をわきまえるということだ」と述べている。
さらにOSIは、法務スタッフの拡充を図り、現在ゼネラルカウンシルを務めるLarry Rosenの後任にMark Radcliffeを指名する予定だ。また、法務部門のディレクターポジションを新設し、Laura Majerusをこの任に充てた。Rosenは今後も、ライセンス問題に関してOSIに助言するという。
OSIは、提出されたオープンソースライセンスが一定の基準を満たしている場合、それを承認する団体だ。このとき、企業や組織、開発者などは、自らのライセンスが「OSI認定」であると公言できる。オペレーティングシステムのLinuxからウェブブラウザのFirefoxまで、何千という製品がこのオープンソースライセンスを利用しているのだ。
だが、オープンソースソフトウェアの人気が高まり、ライセンスの承認数が増えると同時に、法律関連の問題やオープンソースの定義をめぐる混乱も生じるようになった。
新しく会長に就任したRuss Nelsonは、OSIは組織として目指すべき方向を修正しつつあり、これによって、オープンソースやフリーソフトウェアを取り巻く状況も変化するとした。すなわち、現在こうした開発はプログラマらの自発的な活動によって成り立っているが、今後は大企業や政府がこれを支援するようになるだろうというのだ。
Nelsonの声明には、「大規模な企業による干渉や、増加し続けるユーザーからの期待など、開発コミュニティには大きなストレスがかかっている。OSIがこうした負担を軽くしてやらねばならない。開発コミュニティは今や、ソフトウェアの生態系のような場となり、本格化・専門化の度合いを強めている。これを助けるべく、われわれは率先して事に当たるつもりだ」とあった。
OSIの副会長には、LinuxディストリビュータRed Hatのオープンソース問題担当バイスプレジデントMichael Tiemannが就任する。また、Danese Cooperは引き続きセクレタリー兼会計職を務める。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」