労働および雇用を専門にする法律事務所、Littler MendelsonのシニアパートナーGarry Mathiasonは、過去にいくつかのIT企業でも同じような状況が発生した例があると述べ、SECへの提出書類が活気にあふれていたはずの社内の状 況に悪影響を及ぼした、と付け加えた。
一部の人間にとって、IPOによって一瞬にして富を得ることが、会社の仕事につぎ込んだ自分の努力への見返りであり、自信を高めるものになると Mathiasonはいう。
しかし、同じ数の株式割り当てを受けられなかったり、IPO後に採用された人々にとっては、士気やパフォーマンスの低下につながる不公平感が生まれ、 その一方で社員関係のひずみも拡大する、と同氏は言う。
「富の格差は、あまり会話に出てこないかもしれないが、勤務態度や同僚との対話に確実に影響がある。うわべは平静を装って話題にもしないが、水面下で はあらゆる問題が存在する。それが人情というものだろう」(Mathiason)
先日も、CEOのEric Schmidtが11万3000株を約2200万ドルで売却し、Brinも20万株を約4000万ドルで売却している。
金をめぐる社内の緊張は、技術者がインターネット検索を完成させて世の中を良くするという、Googleが巧妙に作り出したイメージとはかけ離れてい る。Googleの創業者であるBrinとPageは長年、世界中の情報を整理するという使命をもつ自分たちにとって、金は二の次だという社内外の雰囲 気作りに努め、自分たちの控えめなライフスタイルを強調してきた。
同社の文化はそのような学生的謙虚さを反映している。多くのGoogle社員からは、創業当時のApple Computerのように、壮大な使命の理想を掲げた、夢を追い求める信奉者の雰囲気が伝わってくる。
株価の急騰は必ずしもこのような理想をぶちこわすものではないが、理想を持ち続けるのに役立つわけでもない。
ストックオプション関連で一部社員に助言する社内資産管理サービスが導入されたり、上級幹部を強盗などから守る警備チームが置かれるなど、金は同社の 社内にすでに変化をもたらしている。
また、富を得た社員が退職する可能性も浮上している。同社の最高マーケティング責任者だったCindy McCaffreyがすでに辞表を提出したほか、情報筋によるとほかにも創業時からの多くの社員が、ストックオプションのロックアップ期間終了後の退社 に向けて準備を進めているという。
Merrill Lynchは先ごろ、このロックアップ期間の終了が株価を若干下落させる可能性を懸念材料と判断し、Google株の格付けを「Neutral(中 立)」に変更した。同社はまた、優れた技術から利益を出すことよりも、革新を採り入れていくことに当面の重点を置くGoogleの姿勢も懸念されるとし ている。
Littler MendelsonのMathiasonは、「人間はいったん豊かになったと感じてしまうと、会社やその将来に対する意気込みが低下してしまうものだ」 と述べている。
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