ビジネスソフトウェアの著作権保護の国際的な組織であるビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は1月25日、2004年の活動報告と2005年の活動方針を発表した。BSAは、安全で信頼できるデジタル社会の実現を推進する非営利団体として1988年に米国で設立され、日本では1992年に啓発活動を開始した。
BSAは、主にビジネスソフトウェアをめぐる(1)政策提言活動、(2)権利保護支援活動、(3)教育啓蒙活動を行っている。BSA日本担当顧問で弁護士の石原修氏は、「こうした活動を通じて2004年を総括すると、大企業でもビジネスソフトウェアの管理がされていないケースがあったことや、ホットラインに繰り返し通報される企業があったこと、1件あたりの著作権者との和解金が高額化していることなどが、ポイントとして挙げられる」と説明した。
ホットラインとは電話や電子メール、ウェブサイトの情報窓口から組織内での違法コピーの情報を提供してもらう(ほとんどが内部告発)仕組みで、通報件数は2002年の157件から2003年には13%増の178件、2004年には15%増の203件と年々増えている。「通報件数の増加は、違法コピーを行う企業が増えているというよりは、BSAやホットラインの認知度が向上したことによる側面が大きい」(石原氏)とはしながらも、日本の違法コピーの損害額は世界の中でワースト5位となっている。BSAとIDCが2003年1月〜12月に調査したところ、日本の違法コピー率は29%(世界全体36%)、損害額は約1800億円(同約3兆2000億円)だった。
また、著作権者との和解金については、ある土木建築サービス会社では8000万円を支払ったケースがあったそうだ。
こうした状況を踏まえて、2005年のBSAの活動方針について、BSA日本事務局長である増渕賢一郎氏は「これまでの3つの活動を基本的に継続するが、2005年は注目すべき動向も多いため違法コピーの再点検を支援することに注力したい」と語った。
2005年の注目点として、同氏は1月1日に施行された著作権法の罰則強化や、4月1日に施行される個人情報保護法などを挙げた。特に著作権法では、改正前は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」だった罰則が、「5年以下の懲役または500万円以下の罰金または併科(複数の刑を併せて科すこと)」と改正されたほか、法人への罰金の上限が1億円から1億5000万円に引き上げられた。
具体的にBSAとしては、企業や各種団体、教育機関といった組織ユーザーのために、違法コピーの予防と解消のきっかけとなるセミナーの開催や企業への訪問活動、ソフトウェア資産の管理を評価する仕組み作りなど、再点検支援策を2月から実施していく予定だ。
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